近年、母乳の良さがWHOをはじめ世界的に見直され、病院も母乳育児を推奨し、2歳過ぎまで母乳を与えるママが増えてきました。しかし今度は、この授乳期間の延長が新しい問題を引き起こしているそうです。それは、今や乳幼児の10人に1人が罹患しているという鉄欠乏症。文字通り鉄分が必要な分に足りていないことからおこる症状です。

乳幼児の間で、いったい何がおきているのでしょう?

 

■ 怖いのは鉄欠乏症からくる発達遅延

子供が生まれたばかりの頃の母乳は栄養たっぷりですが、母乳の鉄分は1年経つと6割程度に減り、タンパク質は半分程度になるといいます。母乳の成分がかわっていくにつれて、離乳食を徐々に増やし、食べ物からも栄養を摂取するというのが理想の流れ。しかし、赤ちゃんを寝かしつける時、ぐずった時に授乳が精神安定に有効であったり、赤ちゃんにアレルギーがあったりと、母乳から離乳食への移行はなかなか思い通りにならないもの。結果、赤ちゃんに必要な栄養素を充分とどけられず、近年特に問題になっている不足栄養素が、鉄分だといいます。

 

では、鉄分が不足すると何がおこるのでしょうか?

 

鉄分が不足すると、脳や体全体に酸素を運ぶヘモグロビンが充分につくられず、貧血になります。「ただの貧血か」と見過ごせないのは、2歳以下の子供の場合、この貧血状態が3カ月以上続くと、運動機能や知能、精神の発達が少しずつ遅れる原因になるというのです。さらにこの貧血状態を半年以上放置しておくと、今わかっている限りではその影響が13歳まで続いてしまうことがわかっています。

 

■ 「じゃあ、牛乳!」というのもNG

「母乳がだめなら牛乳にしよう」と考えがちですが、それも注意が必要です。1歳までに牛乳を与えると、腸管から微量の血が出ることがわかっており、更に牛乳に含まれる成分が鉄吸収を妨げて、これまた貧血をおこしやすくなります。

牛乳は1歳を過ぎてから、そして500cc以上与えないようにするのがよいようです。なぜなら、牛乳には鉄分が殆ど含まれておらず、飲むとおなかがいっぱいになって食事があまり摂れなくなってしまうからです。筆者も保育士さんに指摘されるまで、1歳の子供に牛乳をたっぷり飲ませていたので反省しきりです。

「ワタシの赤ちゃんは大丈夫?」と思ったママ。赤ちゃんのまぶたの内側の色をみるだけで簡単にチェックできます。赤ければ問題ありません。もし色が薄くて心配な場合は小児科に相談すると、検査や必要に応じて鉄剤シロップを処方してくれます。大抵の場合は、鉄欠乏症貧血と診断されても軽度のことが多く、鉄分を多く含むレバーや緑黄色野菜、鉄強化ベビーフードと、鉄吸収を助けるビタミンCを一緒に摂ることで症状は改善されるようです。

 

夏は特に汗で一緒に鉄分も体の外に出てしまいがち。ママも赤ちゃんも、いつもよりちょっと鉄分摂取を意識してみませんか?

[執筆: マキコ・アサエダ(産後ライフプランナー)]

 

【参考】

※ Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine “Double Burden of Iron Deficiency in Infancy and Low Socioeconomic Status”