「キャリア論」と「妊活」。一見全くつながらない両者ですが、筆者が人材育成の現場で働くなかで、両者に面白い共通点を発見しました。現代キャリア理論「プランド・ハップンスタンス理論」と妊活に共通する、興味深い関係のお話です。

 

■ 予期せぬ偶然が自分の運命を変える!?

スタンフォード大学で研究・発表され世界的に広がった現代キャリア論に「プランド・ハップンスタンス理論(Planned Happenstance Theory)」という考え方があります。直訳すると「計画された偶然」「意図された偶然」。ここで言う偶然とは、例えば飛行機でたまたま隣の席だった人が将来のビジネスパートナーになったとか、個人の備忘録として書き溜めていたブログが編集者の目に留って数年後にベストセラーになったなど、当初本人は全く意識していなかった事柄をいいます。この研究では、数百人に及ぶ成功したビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、8割の人は「今の自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るもの」と答えたといいます。

 

■ チャンスをモノにしている人は “種まき” がうまい!?

とはいえ、ただ運に身を任せて何となく過ごしているだけでは良い偶然を呼び込むことはできません。運やチャンスは自らの力で “引き寄せる” ことが大切だからです。私が思うに、これらを引き寄せるには、日ごろどれだけ “種まき” ができるかがポイントです。

この理論をまさに証明しているなと思う方がいます。ノマドワークスタイルで注目を浴びる安藤美冬さん。あえて専門分野を決めずに独立したエピソードなどが有名ですが、彼女の最初の仕事はtwitter経由で舞い込んだといいます。著書「冒険に出よう」の中で彼女はこう伝えています。

“未熟でも未完成でもありのままの自分をさらけ出して行動すれば必ずチャンスはやってくる。臆せずに波に乗ってみることが大事”

私は、こうした行動の1つ1つがまさに “種まき” だと思っています。むやみやたらに行動するのではなく、ルールややり方を決めた上で効率的に種をまいて準備しておくこと。これこそが思わぬ偶然に出会うための近道だと思うのです。

 

■ 妊活も日々のこころがけが大切

妊活経験者のみなさんとお話していると、ビジネスで成功している方と同じような体験をされている方が意外と多いことに気づきました。例えば、医師から「自然妊娠の可能性はほぼない」と言われた方が不妊治療をやめてしばらくしたら自然妊娠したというエピソードがそうです。赤ちゃんは授かりものなので、どんなに高度な医療技術も100%妊娠が保障されるわけではありません。時間やお金、労力をかけても残念ながら妊娠に至らないケースもたくさんあります。それなのに「治療をやめたら妊娠した!」という話を割とよく耳にするのです。

妊娠は神のみぞ知る領域なので、彼女らがなぜ妊娠できたのかは誰にも分かりませんが、私は2つの理由があると思っています。

1つ目は不妊治療を通して体内環境が改善、維持されていたのではという見解。治療の内容によっては一時的に身体に負担がかかることもありますが、日々の心がけで妊娠しやすい体質になっていたことが考えられます。

そして2つ目は、治療をやめても夫婦生活を大切にしていたこと。不妊治療は夫婦のセックスレスを生みやすいと言われていますが、自然に夫婦生活をもち続けていることで、妊娠するチャンスを生み出せます。何より、日常生活での心身の健康維持や夫婦関係を大切にすることが、予期せぬ偶然(妊娠)を呼び込むことにつながりやすいと思います。

 

何事も、日常の生活がとっても大切。暑い夏が終わってそろそろ秋がやってきます。季節の変わり目に、日々の生活を見直してみるのもいいですね。

[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]

 

【参考】

wikipedia 「プランドハップンスタンス理論」
※ 安藤 美冬(2012)『冒険に出よう (U25サバイバル・マニュアル) 』ディスカヴァー・トゥエンティワン