「子供がほしい」という既婚女性の7割が「今すぐにでもほしい」のだそうです(※1)。卵子が老化することが広く知られ、「若いうちに産みたい」というモチベーションが高まっている表れでしょう。ハリウッドセレブたちの間では、今の妊娠ではなく、将来の妊娠に備えて卵子を冷凍保存するサービスが流行っています。いよいよ卵活時代が本格的に幕をあけようとしています。

 

■ ここまで来た卵活テクノロジー

卵子凍結技術によって、妊娠可能な時期に卵子を取り出して保管をしておくことは可能になりましたが、既に高齢出産年齢にさしかかっている女性の卵子については、有効な救済処置はありませんでした。

ところが、先だって発表されたニュースによると、独立行政法事「医薬基盤研究所」などの研究チームが、卵子から染色体だけ取り出して、別の女性の卵子に注入し、体外受精技術によって受精させることに成功したといいます。この技術を応用すれば、若い女性の卵子を使って、高齢女性のDNAをもった子供を授かることができるようになったのです。

 

■ 追いついてきた制度。しかしまだまだ課題は山積

これまで日本では、卵活技術の発達に制度整備が間に合わず、卵子冷凍保存技術については不妊治療者に利用が限定されてきました。

しかし、例え現在独身であったとしても、将来の妊娠に備えて卵子を凍結しておきたいという女性にも門戸が開かれようとしています。それを可能にする「卵子凍結保存の指針」(※2)は以下のようなものです。

 

【卵子凍結保存の指針(骨子)】

・加齢などによる機能の低下を懸念する場合に未受精卵子や卵巣組織を凍結保存できる
・対象は成人女性で、採取時に40歳以上は推奨できない
・凍結保存した卵子の使用は45歳以上は推奨できない
・実施にあたっては口頭と文書で十分に説明する
・本人が死亡した場合には直ちに廃棄する。本人の生殖可能年齢を過ぎた場合は通知の上で廃棄できる

 

これにより、若いうちに卵子を保存しておくことが可能になります。そしておそらく前述の、高齢女性救済処置としての若い女性の卵子を活用することもゆくゆく認可されていく方向ではと想像されます。

しかし、安易な技術の利用は新たな社会問題の引き金になりえるでしょう。指針に強制力がなければ、株式会社である卵活サービス企業で規定を超えた顧客ニーズについて、対応しないこと自体が非常に難しいと想像します。それにより、これまでには考えられない超高齢出産や、他人の卵子、DNAを利用した妊娠出産なども出現してくる可能性が高いのです。

 

「CODE46」という近未来映画では、たまたま恋をした相手が、自分の母親のDNAをもっていたという禁断の恋がテーマでした。このような世界が実現するかはわかりませんが、少なくとも現在のテクノロジー上は可能になっているということなのです。

新技術利用は諸刃の剣。1世紀かけて少子化に取り組んできたフランスのように本気で舵取りをしなければ、後から追いかかけて指針をつくっている後手対応では、不妊に悩む家庭も将来に不安をもつ女性も、救えないのではないでしょうか。

[執筆:マキコ・アサエダ(産後ライフプランナー) ]

 

【参考】
※1. 『毎日新聞』(2013年12月05日)「卵子老化:子どもいない既婚女性「今すぐほしい」7割超す」
※2. 一般社団法人 日本生殖医学会「倫理委員会報告「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン」」(2013年11月15日発表)
『Yahoo!ニュース』(2013年12月12日配信)「<卵子の若返り>「染色体置き換え」で可能に 高齢出産に光」
『日本経済新聞』(2013年12月15日)「卵子凍結で指針を決定 学会、40歳以上は推奨せず」