5月28日、政府は産業競争力会議において、専門職を中心に労働時間規定を外す方針を決定。労働時間ではなく成果に対して報酬を支払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入にあたっては、厚生労働省と経済界では考え方が異なり、議論が続いているようです。

 

長時間労働の助長や、ブラック企業の横行などが懸念され、「ホワイトカラー・エグゼンプション」については慎重派の声が強いような気がします。ですが、そもそも政府の“労働時間規制の見直し”は、個人が働き方を柔軟に選択できるようにし、労働生産性を上げることで、ワークライフバランスの実現を図り、少子化対策・経済効果を目指したものなのです。

つまりは、ワークライフバランスを求める人にとって、良い施策のはず…。ところが、不安感が広がる理由のひとつには、対象基準がまだ曖昧で、自分が対象になるかどうかが不明瞭という点がありそうです。

 

■ 「ホワイトカラー・エグゼンプション」の対象になるのは、どんな人

「ホワイトカラー・エグゼンプション」の対象条件は、まさに議論の最中。確定していないからこそ、不安感があるのでしょう。

1. 対象となる年収

民間議員の提案では「年収1000万円以上」。厚労省はさらに高収入を対象にすべきとの意見。

ところが、2007年にも「年収900万円以上の管理職手前の社員」という条件で検討があったそうなのですが、対象者数は約20万人であり雇用者の1%に満たないのだとか。これでは対象者が少ないですよね…。

2. 対象となる職種

民間議員の提案では、企画やマーケティング職なども含む「管理職候補」も対象にすべきとの意見。一方、厚労省は金融ディーラーなど「世界レベルの高度専門職」に限るべきとの意見。

厚労省の掲げる職種は、多くの場合、そもそも年俸制の働き方が多いと言われ、現行と大差ないとの指摘も。民間議員のいう「管理職候補」にはいわゆる「課長補佐」なども含まれるので、裁量労働制の議論でも耳にする「名ばかり管理職」などの懸念が残ります。

 

 ■ 実は、「希望しない人には適用しない」仕組み

長時間労働を強いられる、残業代がなくなり収入が下がる、このような誤解だけが先行して不安視されている「ホワイトカラー・エグゼンプション」ですが、現時点では、実は安倍首相は大事な点を盛り込んでいます。

それは、対象者がどうあれ「希望しない人には適用しない」という方針。つまり、年収や職種が「ホワイトカラー・エグゼンプション」の対象になったとしても、適用するか否かの選択肢は、あなた自身に委ねられるのです。

 

誰かが決めた制度で否応なしに適用となるのではなく、自分で決められる。そう思うと、どのような選択をするのが自分や家族にとってベストでしょうか。自分で選ぶという自覚を持ち、働き方の軸について考え始めてみませんか。(ただし、制度の議論は日々変化していますので、内容については随時チェックを!)

[執筆:菅野彩子(ノーツマルシェ編集部), 2014年5月29日]

 

【参考】
※『日本経済新聞』「労働時間規制を緩和 高度専門職 働き方柔軟に」2014年5月29日朝刊
※『読売新聞』「労働時間規制を緩和 首相指示 高度な専門職対象」2014年5月29日朝刊
※『読売新聞』「緩和職種で対立」2014年5月29日朝刊 三面