6月は「父の日」があったことから、父親との関係を改めて見つめ直した方もいたかもしれません。2003年に、神戸女学院大学の学生が行った調査(※)によると、娘が父親に対して嫌悪感を抱く場合、両親の不仲が影響していることが指摘されています。父親の悪口を母親からたびたび聞かされた娘は、父に対してマイナスのイメージを持つ傾向があります。

 

■ 両親が不仲だと、娘は父親に嫌悪感を抱く傾向が

母娘問題カウンセリングを行っている筆者のカウンセリングルームには、母親のことで相談に来られるのですが、父親も嫌いという人は結構多いです。しかしお話を伺っていると、実際は実の父親をよく思いたい、けれども母親の存在が絡み、相反する思いから苦しんでいる娘達の苦悩が浮かび上がってきます。

小さかった頃は、お父さん子だったというB子さんも、その一人。小学校低学年位までは、お父さんが大好きで、休日はよく遊んでもらっていました。ところが、中学校入学あたりから、両親がたびたび喧嘩するようになり、母親はしょっちゅう父親の愚痴をこぼすようになりました。生活費が少ない、愛人がいるようだ、暴力をふるわれた等など…。 連日、母親からこのような話を聞かされ、B子さんは父親を次第に憎むようになりました。

その後、何度か離婚話が持ち上がりましたが話がまとまらず、B子さんが社会人になった現在は、家庭内別居だそうです。 一人で食事をしている父の姿を見ると、自業自得と思っていたのですが、歳を重ねる背中に可哀そうと思う気持ちが…。そんなB子さんの揺れる思いを引き戻すかのように、父親のことを悪く言う母親。こうした状況が続き、B子さんは心にモヤモヤした思いを抱きながら、カウンセリングを受けようと思ったのです。

 

■ 父親に対する、自分の本当の気持ちに気づく

このようなケースでは、B子さんが父親を本当はどのように思っているのか、無意識の底にある気持ちを明確にするようにします。 そのためには、長年にわたって母親の話からB子さんが作り上げてしまった父親のイメージをリセットする必要があるのです。このプロセスを経て、B子さんは自分が母親に味方しなければいけないと思い込んでいた。けれども、夫婦間と父娘間の関係を切り離して考えられるようになり、本当は父親を大事にしたいと思っていることに気づいたと言います。

B子さんに限らず、カウンセリングでは、母親・父親・または別の人であっても、誰かに対して心の奥底に追いやってしまった気持ちを浮かび上がらせることができます。大事なのは、あとで後悔しないためにも、自分の思いを知る機会を作ること。たとえば、今の心境を書き出して整理することも可能ですが、カウンセリングを利用するというのも、手段の一つとして挙げられるのではないでしょうか。

[執筆:真香(母娘問題カウンセラー), 2014年6月30日]

 

【参考】
岩崎かおり「父親に対する娘の嫌悪感についての研究」 神戸女学院大学人間科学部人間科学科