■ 高齢化に伴い、家族の介護が増えている

9月は敬老の日がありました。高齢化が進む日本では、健康で身の回りのことも一人でできる、それが理想的な老後といえるかもしれません。一方で、認知症や寝たきりになり、介護を担う家族、妻や娘に負担がかかっているのも事実です。

2013年に行われた全国家庭動向調査(※)では、「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」という問いに対し、50~59歳代の妻は51.8%が賛成、60~69歳の妻は54.7%が賛成となっており、約半数が賛成と答えています。

 

■ 介護する母を助けるため同居の必要性に迫られる

母娘関係改善カウンセリングを行う筆者が受ける相談では、介護に関する悩みも増えています。中でも多いのは50代後半から60代の方。実際に母親を介護しているけれど、長年の確執によって優しく接することができない、ときに憎悪すら感じる自分が嫌だという人や、受けた仕打ちの復讐を母親にしてしまうのではといった不安を抱える人もいます。

一方、クライアント(相談者)が30~40代の場合は、「介護を手伝ってほしいから同居して」と母親から言われ、悩むケースです。

クライアントのA子さん(一人娘)もその中の一人ですが、母親とソリが合わず短大卒業後、実家を離れて独り暮らしをしていました。勤務先は実家からも通える距離ですが、母親とは喧嘩ばかりしてしまうため、給料をやりくりしながら家賃を捻出しています。

A子さんはそんな生活を続けて10年近く経ちますが、母親は数年前から同居の祖母の介護をしています。さらに、定年退職した父親が体調不良を訴えて自宅療養することに。そこで母親から「実家に戻って一緒に暮らしてくれれば心強い」と言われるようになりました。

母親が、祖母と父親の介護で大変なのはよくわかるけれど、何かと衝突しそうで同居に踏み切れないと話すA子さん。祖母や父のためにも母親を手伝うべきなのはわかっているけれど、母とはどうしても一緒に暮らしたくない葛藤、そんなのはわがままだという罪悪感でA子さんが自分を責めていることが、カウンセリングを通してわかりました。

そうはいっても、A子さんは同居に対して強い抵抗があることから、出した結論は「休日だけは実家に滞在し、母親にはストレス軽減のため外出などしてもらう」ということ。これによって、A子さんが罪悪感をもつのは避けられたのです。

 

高齢者の増加にともない、こうした悩みに直面するケースが増えることも予想されます。ですが、母親との間に確執があるような場合には、実家に戻りたくない方もいるでしょう。最初から、戻る・戻らないの二者択一ではなく、利用できる福祉サービスなど情報を収集し、どのような方法があるのか選択肢を増やすことが、母と娘のお互いのためといえるでしょう。

[執筆:真香(母娘問題カウンセラー), 2014年9月20日]

 

【参考】
国立社会保障・人口 問題研究所『第5回全国家庭動向調査 結果の概要』pp.48「妻の年齢別に見た老親への援助に関する考え方の各項目への賛成割合」PDF, 2014年8月8日公表