自身が妊婦であることを周囲に知らせる「マタニティマーク」。今、妊娠を自治体に届け出ると母子手帳をもらう際に無料で配布されています。妊婦に対する配慮を呼びかけるため、10年前から厚生労働省が定めて実施しているものですが、最近はマタニティマークをつけることを自粛する妊婦の動きがあるとのこと。それはなぜなのでしょうか?

 

■ 本来の意味が理解されていない?

最近、マタニティマークを付けていると返って危険なのでは、という記事をネットで多く見かけるようになりました。2015年10月17日朝日新聞デジタル版(※)でも「マタニティーマーク10年、世間の反感に自粛する妊婦も」と題して現状を伝えています。「幸せアピール?」「妊娠した事を知らせたいの?」等、妊婦さんにとっては不本意な事を思われ、暴言や暴力の標的になることを恐れてつけることを自粛してしまうケースが増えているようです。

実際にマタニティマークを製造する業者への個人の注文は半減していたり、オリジナルのマタニティマークを企画するベネッセ社でも「より小さく」「目立たない」デザインを希望する声が増えたとのこと。

本来は、おなかの目立たない妊娠初期に、つわりなどで体調が不安定な時期に周囲が配慮できるように、また災害時、妊婦自身が急な体調不良で自分が妊婦であることを伝えられない状態となった時に、救護する人に妊娠の事実が伝える目的があります。筆者も妊娠初期に子宮内膜に炎症ができ、「もしお腹が痛くなったら、あなたは自分で妊婦であることを言えないくらいの状態になるはずだから、マタニティマークや保険証にメモつけるなどしておくように」と、医師から指導を受けたことがあります。

 

■ 親切な人もたくさんいるのに

しかし、このようなネットでの盛り上がりに対して、筆者は少々違和感を覚えます。数年前のことになりますが筆者が妊婦だったころは、想像以上に老若男女問わず色々な方々に配慮いただき、見ず知らずの方の優しさにたくさん触れた記憶ばかりで、恐い思いをした経験はありません。ここ最近では世間の様子が変わったのかと思い、最近まで妊婦だった後輩たちに話を聞いても親切にされたことはあれど、嫌な思いをしたことは無いという人が多いのも事実です。

中には、辛い経験をした方ももちろんいらっしゃると思いますが、優しい配慮をしてくださる多くの方のことも忘れないで欲しいと思います。働く妊婦さんが増える中、お互い思いやりを持って対応できる社会であってほしいものですね。

[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー), 2015年11月17日]

 

【参考】
『朝日新聞デジタル版』 「マタニティマーク10年、世間の反感に自粛する妊婦も 2015年10月17日