物心ついた時から、親がずっと自分に言い続けてきた言葉というのはその後も耳に残るものです。耳、あるいは脳の記憶に刻み込まれると言ってもいいかもしれません。

母娘関係改善カウンセラーの筆者の元には、「人の目が気になってしょうがない」という方がかなりご相談に来られます。他人はそれほど自分を見ているわけでも、気にしているわけでもない。頭ではわかっているけど、どうしても人の目を意識してしまう。自意識過剰な自分に自己嫌悪を感じる人が多いようです。

こうしたケースでは、「子供の頃から両親に言われ続けてきた言葉にどのようなものがありますか?」と伺うことにしています。すると「何かあるたびに親はよく『世間体が悪い』、『人様がどう思うか』『そんな事をしたら人から笑われるよ』と言っていた」という返事が返ってくることが多いのです。小さな頃からこうした言葉が刷り込まれると、大人になってからも服選びから進学、就職に至るまで自分より他人の評価を優先するようになります。

 

■ 他人に注目されているという思い込み―スポットライト効果

自分の容姿や行動が他人に注目されていると強く思う傾向がある。こうした思い込みを心理学では「スポットライト効果」と言います。しかし、実際に人はそれほど他人に注意を払っていないという実験データもあるのです(※1)。

それでも親から言われ続けてきた言葉の影響は絶大で、他人の目を最初に気にする癖が出来上がってしまっているからです。このような考え方の癖がつらいと感じる場合は、わざと人目につくような行動をして他人が自分に注意を払っていないことを実感してもらう方法があります。例えば、空いた電車を1両目から最後尾まで歩いてみる。両サイドに座っている乗客の何人から注目されるでしょうか。これに慣れたら、次のステップは派手な帽子やマントを着用して通りを歩いてみる。立ち止まってじっと見る人がいるでしょうか。

このように他人からの注目が思っているよりも少ないことを実感することで、人の目が気にならなくなります。

[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー), 2016年2月9日]

 

【参考】
※1.  クリストフ・アンドレ(2008年)『自己評価メソッド―自分とうまくつきあうための心理学』紀伊国屋書店,「スポットライト効果」についてはp197参照
※写真:Choreograph / PIXTA、本文とは関係ありません