5月31日~6月6日は禁煙週間。日本たばこ産業(JT)全国喫煙者率調査(※1)によると、成人男性の平均喫煙率は30.3%、女性は9.8%となっています。女性に限ると、ここ10年ほどほぼ横ばいで推移しています。年代別にみると、男性ともに40代がトップ(男性38.5%、女性14.8%)でした。

煙草を吸う人に話を聞くと「煙草を吸うとストレス解消になる」「禁煙するとストレスがたまる」という理由がたびたび挙げられます。吸う人の割合が最も多かった40代は、職場でも家庭でも、ストレス過多になっている方が多い年代でもあります。つい気を間際らわせるために煙草を…という方が多いのかもしれません。

しかし、実は「煙草がストレス解消」という理由が適切ではないことを示す研究があることをご存知でしょうか?

 

■ 煙草はストレス解消にならない?

アメリカの調査では、対象者4,800人を喫煙者と禁煙者に分けて3年間の追跡を行いました。その結果、うつ病や気分障害といったメンタルヘルス疾患への罹患率が低かったのは“禁煙者”であるというデータが出されたのです(罹患率:喫煙者42%、禁煙者29%)。煙草を吸い続けることでストレス疾患になる割合が高くなっていることから、煙草がストレス解消につながっていないことが分かります。

煙草を吸って感じるストレス解消効果はいっときのものに過ぎず、ニコチン切れに伴う離脱症状によってイライラしていたものが、再び喫煙によりニコチンが補われることで緩和されただけと考えられるのです。むしろ、煙草自体がストレスの原因ともいえるでしょう。

 

■ 禁煙することで、メンタルヘルスが改善される!

平均喫煙本数1日20本・40代がメインの喫煙者に対し、「禁煙する直前」と「禁煙してから6週間以上たった後」とに分けて、不安、抑うつ、ストレスなどの精神状態について評価した26の研究結果(※2)があります。この結果によると、精神状態はどの項目においても禁煙6週間以上たった後のほうが、改善がみられています。つまり長期的な視点を持てば、禁煙がメンタルヘルス改善につながっていることが明らかになったわけです。

 

「煙草は身体に悪い」ことは以前より多く指摘されていましたが、「メンタルヘルスの観点からも悪い」ことはあまり知られていないように思います。心身ともに健康な生活を続けるために、現在、煙草をやめられないでいる方はぜひ、禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2016年5月22日]

 

【参考】
※1. 健康・体力づくり事業財団「最新たばこ情報 成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)」
※2. 『The BMJ』「Change in mental health after smoking cessation: systematic review and meta-analysis」
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません