前編では、産院によって方針があらかじめ決まっていることが多いため、「産院選びのまえに自分の出産スタイルを決める」ということの大切さ、そして「出産スタイルを考えるために、まずは自分を知ることから始まる」というお話をさせていただきました。中編では、具体的にどこから考えていけばよいのか、いくつかのヒントと自己分析についてお話します。
Q. 自分は痛みに強い? 弱い?
「赤ちゃんや母体のために、できうる限り自然な状態で出産することがベストである」と様々な育児書に謳われています。しかし、陣痛がはじまってから出産までは長く辛い道のりが待っています。自然分娩を追及するあまり、3日間陣痛が続いた後ママが失神、胎児が仮死状態で生まれてきたというケースもよく聞きます。医師から自然分娩が可能とされていても、これから始まる出産が安産か難産なのかは、実際に始まってみないとわからないのです。
また、体力を消耗した後では、赤ちゃんのお世話についてもママの負担感が大きくなります。母子の絆形成で重要な産後1カ月にママが疲れ切っていては、赤ちゃんに愛情を注ぐこともままならないでしょう。つまり、産後にも体力をある程度残しておくことが重要なのです。
ですから、自分は体力がある方なのか、痛みが強くても意識を保っていられる方であるのか、もし持ちこたえない場合は、どんな処置をしてほしいのかきちんと考えておく必要があります。なかなか自己分析が難しい場合は、家族にきいてみるのも手です。
もし、自分が痛みに強くないと思うのであれば、無痛分娩という選択肢もあります。ただしここには麻酔による母体や胎児へのリスクが生じるので、そのリスクと自然分娩で起こりうるリスクとを比較してどちらかを選択するということになるでしょう。
自然分娩を選択した場合でも、出産が進まない場合の促進剤の使用や、いざというときの帝王切開の判断タイミングなど事前に決め、病院の方針を確認しておくことが重要です。病院によっては、患者の希望如何に関わらず、促進剤使用や生死に関わらない限りは、帝王切開をしないと決めている病院もあるからです。
Q. 究極の精神状態のとき、家族に何を求める?
出産というのは女性にとって精神的にもかなり負担が大きいものです。ある病院関係者は、「普段しとやかな女性が、出産のシーンになると言葉汚く罵る、蹴る」なんて現場を何度も経験したといいます。そういう精神状態のときに、誰にどのようにしてもらいたいかも考えておくといいでしょう。
たとえば、いちばん自分をわかってくれているはずの家族。家族が出産に立ち会ってくれることで得られる安心感はとても大きいもの。私自身、予期せぬ緊急帝王切開になってしまった時、術後の傷口の悪化した時、夫や5歳の長女には驚くほど励まされました。この場合、出産の家族の立ち合いだけでなく、入院中の面会で家族にどうしてほしいかも考えておくとよいでしょう。多くの産院で、家族の立ち合いや面会に制限があり、夫の宿泊や未就学児との面会が、個室以外禁止としていたり、完全にロビーだけというところもあるからです。
ここで紹介できたのは、ほんの一部です。この他にも様々な環境要因があると思います。まずは、自分がどういう状態が一番ストレスなく、心地よいのか、じっくり心の声に耳をかたむけてみてください。きっと自分のタイプが見つかるでしょう。
後編では、いよいよ「病院を知る」というお話を紹介します。
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