日本生命が子どもが生まれた男性職員全員に、育児休暇(育休)を取得させる事を発表しました。あまり知られていない男性の育休。実態はどうなっているのかご存知でしょうか?
■ 男性の育休の内容は?
男性の育児休業は、下記の内容となっており女性の育児休業と違いはありません。
- 子どもが一歳になるまで取得可能
- 子どもが3歳になるまで会社に短時間勤務制度(時短)を会社にお願いできる
- 子どもが保育園に入園できないなどがあった場合は1歳6カ月まで取得可能
- 育児休業中は社会保険料(厚生年金保険、健康保険)の本人と事業主負担の免除がある(ただし、1年以上雇用保険にはいっていなければならない)
- 両親が入れ替わりで休業を取った場合は2カ月の休業期間の延長可能
- 出産後8週間以内に休業を取得した場合は、再度の取得が可能
- 妻が専業主婦でも取得できる
妻が専業主婦でも取得できる点は、特に知らない方が多いのではないでしょうか。
■ 取得率はどのくらい?
平成20年にニッセイ基礎研究所が育休を取得したいという希望を発表した時の希望者が3割だったのに対し、厚生労働省が発表した一昨年の男性の育休取得は2.63%。希望と現実の差は約26%とも言えます。
制度はあっても、なかなか浸透してない現実があるようです。
■ 取得率を上げるには?
取得率の低さにはいくつか理由がありますが、その中でも「職場に言い出しにくい」「家計が大変になる」といった事が大きな理由ではないでしょうか?
例えば、職場に言い出しにくい場合。40代後半~50代以上の方々は、女性の育休ですら当たり前ではない世代です。上司がそれくらいの年齢の場合は、なかなか会社に言いだせないのもわかります。
また、家計が大変という場合は、一般的には男性の収入の方が高いため、育休取得により世帯収入が下がってしまうことも考えられます。
そういったことから、取得率を上げるには、日本生命のように会社全体で制度化してしまうのは一つの方法ではあります。しかし、世帯収入の減少で考えると、会社全体で制度化されてしまっても、取得する側としても困ってしまう可能性があり、それが一番いい方法とは言えないかもしれません。
男性の育休を浸透させ、取得率を上げるには、まだまだ課題がたくさんありそうです。
女性の育休に対しても厳しい現実があるなかで、男性の育休は今後どうなっていくのか。非常に興味深い課題の一つです。少子化問題を抱えている現実も含めて、社会全体で子育てについて考えていけたらいいと思います。
[執筆:三木育美(保育情報アドバイザー)]
【参考】
※「パパの育児休業を応援します!」厚生労働省 PDF
※「日生、男性社員に育児休業取得を原則義務づけ」日本経済新聞(2013年6月19)
※株式会社ニッセイ基礎研究所「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査研究報告書(平成20年)