全米大ベストセラーの話題作、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏の著書『リーン・イン~女性・仕事・リーダーへの意欲』。
最も新しくて現実的な女性のキャリアへのヒントが満載の本のポイントに迫ります!
■ アメリカは男女平等か?
先進国の中でも特に社会で女性の地位が低い日本、管理職の割合や賃金といった様々な指標からその低さ指摘されています。しかし、男女平等のイメージが強いアメリカでも働く女性にとっては、まだまだ厳しい現実が多々あることが『リーン・イン』の中で赤裸々に描かれています。例えば、著者シェリルが資金調達の重要な商談で訪れたマンハッタンの高層ビルで女性用のトイレの場所を聞くシーン。なんと20年以上もそこに女性が来たことはないというエピソードなのですが、こうした社会の制度や環境の壁だけでなく、女性の内面的な部分でも、でしゃばらずに目標を低く設定してしまう傾向がまだ強いとシェリルは指摘しています。
■ 「野心家」は褒め言葉ではない
最近の日本企業では、なんとかして女性管理職を増やそうと「上を目指したい女性」を探して引き上げようと動き出しました。しかし、そういう気持ち=野心をもった女性を見つけるのは至難の業。アメリカでも「彼女は野心家だ」というのは全然褒め言葉ではないというから少々驚きです。ものすごく積極的で強烈にがんばり屋の女性が、なんとなく疎まれるのは日米共通なようです。でも、そうして女性がいつまでも「上」の立場に立たないと、女性が心地よく働くための課題解決が進まない! というシェリルの主張には共感できます。実際、日本でも横浜市では女性が市長になったとたんに待機児童が解消してしまったのですから。
■スーパーママは神話? 罪悪感のマネジメントについて
もう一つ共感できるのが、シェリルの母親としての視点。子育てしながら仕事をするなんて、フルタイムの仕事を二つ同時にするようなもので到底無理! と断言し、こうも書いています。「母親にとって、罪悪感のマネジメントは時間のマネジメントと同じくらい重要である。」これがどれほど難しいかはワーキングマザーにとっては痛いほどよくわかるのではないでしょうか? 経営者レベルの人がここまで理解してくれているなら、とても安心感があります。女性が実際に上に立つ必要があるというのは、このような気持ちの理解という意味でも大切ですね。
■ キャリア・パスの設計
この本は、キャリア・パス(仕事での昇進やゴールへの道筋)の考え方を学ぶにも役立ちます。かつて、勝間和代氏はご自身のキャリア・パスを、一つのキャリアから関連しながら偶然の出会いをたどるように進む「わらしべ長者」スタイルと表現されていましたが、シェリルさんは「梯子ではなくジャングルジム」と書いています。女性のキャリアはまっすぐ予定通り上に進むのではなく、自由な回り道をしながら、てっぺんまでいくイメージであると。私もこの点には非常に共感します!皆さんもこの本を読んで、リーン・イン=一歩踏み出してみませんか?
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※シェリル・サンドバーグ(2013)『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』日本経済新聞出版社