「育児休業3年」が波紋を呼んでいます。育児と仕事の両立についてのニーズはさまざまで一概には言えませんが、たとえ3年休業しても安心して職場復帰できる環境が整うにこしたことはありません。しかし、企業努力だけで解決できるのでしょうか。
「出産後も働きたいけれど夫は仕事で帰りが遅く、結局は私(妻)の負担が増えるだけ……両立できる自信がありません。」などの相談が絶えません。女性が働き続けるには、女性の職場環境が整うだけでは力不足なことがうかがえます。いったい男女間でどの程度、家庭での負担に差があるのでしょうか。
■ 男性1時間、女性7時間半
「男性1時間、女性7時間半」とは、一週間あたりの家事育児時間のこと。2006年頃の発表(※1)によれば、日本人男性の平均は1時間、女性は約7時間30分でした。欧米諸国で最も男女差がでた国でも、女性の家事育児時間は男性の約2.3倍にすぎません。男性が家庭に関わる時間を増やすことは、女性が働き続けるための力強いサポートとなるでしょう。ワーク・ライフ・バランスといえば、女性の中でもワーキングマザーが注目を浴びてきましたが、今後は男性にも注目です。
■ ホントは男性も家事できます
同じ時期に男性はどのくらい働いていたのでしょうか。調査(※2)によれば、1週間の平均就労時間は46.5時間(農林業を除く)。ちなみに2010年度の平均は45時間、少し短縮しました。働き盛りの30~40代男性ならばもっと長時間になるでしょうが、今後は前述の家事育児時間の差をもっと縮められるのでは?
平成5年に中学校で家庭科の男女共修が始まりました。当時中学1年生だった男子は今年32歳、包丁を持ったことのある働き盛り男性が今後は増えるのです。この世代を夫に持つなら、家事に関する夫の能力を信じて任せてみてはいかがでしょうか。
どちらかだけが我慢するのではなく、お互いに「家庭も仕事も」充実させる生き方ができますように。
[執筆: 五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※1. 厚生労働省「イクメンプロジェクト発足式」配布資料(平成22年6月)
※2. 総務省統計局「労働力調査年報」