日経新聞社が「待機児童」の定義について市区で調査をしたところ、実は定義がバラバラだったということが判明したそうです。これを受けて、新聞では、潜在的な待機児童数は公表数字を大きく上回りそうだと報じられていました。
■ 調査対象地域は?
定義について調査した地域は、東京23区に加えて、多摩地域といわれている、八王子市、町田市、調布市、武蔵野市、三鷹市。そして、神奈川県横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市。埼玉県では、さいたま市。千葉県は市川市、船橋市、柏市、松戸市、千葉市。合計38の市区にて調査を行ったそうです。
■ なぜ、定義がバラバラに?
国が「待機児童」として設けている内容は当然あるのですが、それはあくまでも大枠にすぎません。基準を統一しなければならないという事はなく、待機児童についての細かい判断は、各自治体に任されているそうです。そのような理由から、「国の基準に沿ってはいるものの、各自治体が詳細を決めているために定義が違っている」という事態になっているのです。
■ 例えば、どんな違いがあるの?
では、具体的にはどのような点が異なるのでしょうか?
例えば、育児休業を延長した場合。東京23区においては目黒区、23区以外では、横浜市、川崎市、相模原市、さいたま市は、「待機児童」には含めていません。
日経新聞社の調査項目は全部で9項目あったのですが、「幼稚園の預かり保育を利用している」「内定した仕事を辞退した」などの場合には、ほとんどの自治体で待機児童数には入れていないようです。
地域の自治体によって定義が変わってしまうのは、地域が違えば勝手も違うので、多少は仕方がないと思います。ですが、定義があまりにも違っていると、潜在的な待機児童数は、現状の数字よりも万人単位で増えると考えられます。
日経新聞社の記事を見て、待機児童の定義がバラバラということに驚きはなく、むしろ「やっぱり」と改めて思えました。それは、入園基準も自治体で違っているためです。
待機児童の定義も、入園基準も、もう少し統一感があってもいいのではないでしょうか。今は待機児童をなくそうとする動きがあります。これを機に、定義についても、統一する動きがあってほしいと思います。
[執筆: 三木育美(保育情報アドバイザー)]