専門機関の調査(※1)によれば、今年の新入社員の60%以上が転職に肯定的。企業は一般に「辞めずに貢献してくれる人」を採用したいわけで、最初からボタンの掛け違いが生じている様子。このギャップを考えることは、転職の面接対策、すなわち企業が求める人物像の理解に繋がりそうです。
■ 2013年度春の新入社員意識調査
新入社員の転職に対する意識調査(※1)の結果は、「しないにこしたことはない」と答えた人は、男性33.8%、女性27.0%。「それなりの理由があれば1~2度はしかたがない」および「それなりの理由があれば何度してもかまわない」を合わせて、男性60.9%、女性65.3%。女性のほうが転職に対して、わずかに肯定的でした。
■ 転職理由トップ3は?
転職サイトDODAの調査(*2)によれば、男女の転職理由トップ3は次のとおり。
<男性>
1位 会社の将来性が不安
2位 ほかにやりたい仕事がある
3位 給与に不満がある
<女性>
1位 ほかにやりたい仕事がある
2位 残業が多い/休日が少ない
3位 会社の将来性が不安
以上をキャリアコンサルタントの視点で読み取ると、転職する人の傾向はこのようになります。
- 自己実現の意欲が高い
- 仕事の中身よりも条件を重視する傾向がある
- 会社よりも自分が大事(忠誠心が低い)
上記2と3が採用面接で企業に伝わると、マイナス評価に繋がることは明らか。では、上記1はプラス評価に繋がるのでしょうか。
■ 自己実現の伝え方
若い方の転職理由でよくお聞きするのは、「自分を成長させる仕事をしたい」というニュアンス。この点が前面に出てしまっては、前述の3と同じ印象です。仕事で頑張った結果、副産物として自分の成長を実感する、このような姿勢を歓迎する企業が多数派です。
自分なりのビジョンを持ち、まい進する姿勢は、評価に値します。しかしそれは、あなたのビジョンが会社のビジョンに沿っていてこそ。面接では、企業研究をしっかりしたうえで、あなたのビジョンが会社に貢献するものであることを伝えましょう。
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※1) 公益財団法人日本生産性本部「2013年度新入社員 春の意識調査」PDF
※2) 転職サイトDODA「転職理由ランキング 男女別-2013年上期-」