女性が仕事と家事を両立するには、夫の協力や職場の理解を得ることが不可欠! と筆者を含めて多くの方が考えていることでしょう。しかし、当の女性は必ずしもそう考えていない可能性があるようです。灯台元暗し?!
■ 妻が専業主婦であっても取得可能
平成22年6月施行された改正育児・介護休業法により、夫は妻の職業の有無にかかわらず、育児休業を取得できるようになりました。専業主婦の夫も、育児休業を取得できるのです。それにもかかわらず、調査(※1)結果によれば、平成24年度の性別取得割合は、女性83.6%に対して男性はわずか1.89%。
法改正前、平成21年の取得割合は男性1.72%でした。横ばいの理由は景気後退の影響だけでなく、周囲の目を気にしたり、昇進に影響すると考えたりしているためかもしれません。あるいは、妻が専業主婦だから育児休業取得中だから、僕は取らなくていいでしょ、との考えもあったりして。
■ 夫の育児休業には反対?!
ライフメディアのリサーチバンクが、20~40代の未就学児のいる妻1500名(うち有職者200名超)に調査(※2)したところ、夫が育児休業を取得したことのあると答えた妻は4.5%(68人)のみ。
夫が育児休業を取得したことがない妻95.5%(1432人)のうち、「夫に育児休業を取得してほしくない」と答えた割合は40.4%! その理由として、「昇進に影響しそう」「肩身が狭くなるのでは」「家計的に厳しい」などが自由回答で挙がっていたとか。
このことから、夫の育児協力に対する妻の考え方は、仕事に影響のない範囲に限定したい、夫のメンツを保ち、家庭の中でのみ協力し合うということだと想像できます。あるいは、職場の現実を知っているからこその、合理的な選択かもしれませんが。
それは十分に共感できる一方、女性が働き続ける職場に変える、そんな意義ある役割を「夫の育児休業」という形で彼女たちにも積極的に担ってもらえたら…と願わずにはいられません。
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント)]
【参考】
※1. 厚生労働省 「平成24年度雇用均等基本調査 事業所調査」PDF
※2. ライフメディア リサーチバンク「妻に聞いた夫の育児に関する調査」(2013年8月7日発表)