女性政策が進むとともに、育児休暇を取得して働き続けたいという女性が増えています。働く女性にとって、妊娠・出産・育児と仕事の両立はとても大きな関心ごと。調査(※1)によれば、シングル・ディンクス女性の約8割が出産を躊躇する、不安に感じると答えており、そのうち6割弱が出産後の仕事との両立の不安を理由に挙げています。
そこで今回は、出産はもちろん、それ以外のさまざまなライフイベントも含め、女性が長く働いていく上で大切にしたいポイントについてお伝えします。
■ ワーキングマザーの現状
女性の仕事と育児の両立には、本人の努力ややりくりはもちろん、それ以外にも男性の協力や、待機児童問題の解消が不可欠です。これらの課題がスピーディに進んでいかない裏側で、育児期の30代に女性が離職するのを示す「M字カーブ」は構図が変わることなく、全体の約6割強が第一子出産を機に会社を辞めています。法制度上はワーキングマザーとして働く上での環境はかなり前進していて、育児休暇に加え、復職後の時短勤務も3歳まで認められるものの、企業、つまり個々の現場でのワーキングマザー活用がなかなか進まない現実があります。
■ 働き方の変化に悩むワーキングマザー
出産前にある程度キャリアを積み、責任のあるポジションに就いていたとしても復帰後も元いた場所で同じように働けるとは限りません。広告会社で働くAさんは1年弱の育児休暇を経て復職するも、出産前に所属していた広告企画部には戻れず、管理業務を任されることになりました。1年弱という空白もあり、仕事のペースがつかめず、モチベーションが上がらない日々が続いたといいます。年齢的にも転職は避けたいということで、今後どのようにキャリアを築いていくかが課題だと話しています。
■ キャリアダウンではなく、キャリアポーズという認識を!
Aさんのように復帰後のキャリアに悩む女性は少なくないのではないでしょうか。「キャリアダウン」への不安が大きいようです。
以前、女性誌の妊活についての対談で少子化ジャーナリストの白河桃子さんにお会いした際、仕事と妊活の両立をテーマにお話をさせていただきました。私の経験も踏まえ「不妊治療の通院が多くなると仕事への影響が心配」「これがきっかけでキャリアダウンするのが辛い」とお話したところ、目からウロコのアドバイスをいただきました。「キャリアダウンする、と思うから辛いのでは? “キャリアポーズ”(一時停止)くらいに思っているくらいでちょうどいいのかも」。
女性は、男性に比べてライフイベントに左右される時期が多いもの。妊活や育児だけでなく、夫の転勤や将来的には介護の問題もでてくるかもしれません。そうした人生のフェイズでメリハリをつけていけるほうが長い人生、トータルで満足のいくキャリアになるのかもしれません。仕事へのウェイトが一時的に低くなったとしても与えられた環境でそのときの100%の力を発揮できれば、自ずと次につながるチャンスは舞い込んでくる。そんなふうにに思いながら前向きにいきたいですね!
[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]
【参考】
※1. 日経ウーマンオンライン「働き女子の妊活2011」(2011年10月24日発表)
※ 厚生労働省 「平成22年版 働く女性の実情」