新入社員を春から指導してきた方は、そろそろ彼らを独り立ちさせようと考える時期ですね。彼らの多くは、就職活動を前に「なりたい自分」を考え抜き、時にはそれを面接で訴え、入社に至りました。そんな彼らを上手に”その気にさせる”ことが、新入社員の独り立ちを成功させるカギになります。
■ 新入社員の8割が伸び悩み?!
日本経済新聞の記事(※1)によれば、伸び悩む新入社員のほうが多数派なのだとか。考えられる理由として、「なりたい自分」と現実の仕事にギャップを感じる傾向の高さや、自分から質問する姿勢の不足などが挙げられていました。先輩たちが忙しく仕事をしているから、聞くタイミングを計りかねていることもあるのでしょう。
■ 新入社員の人物像
世代ごとの新卒入職時の資質を企業にヒアリングした専門機関の調査(※2)から、現在20代の社員は、「失敗したり困難な仕事に直面すると自信を失ってしまう」割合が、他の世代よりも高いことがわかります。その割合とは、20代で47.0%、30代で13.4%、40代以上では5.9%でした。
また、20代は他の世代よりも「会社内で業務に取り組む中で自らのキャリアが高まる」と考える傾向が低いことも、同じ調査でわかっています。(20代15.5%、30代27.5%、40代50.9%)
しかし、悲観材料ばかりではありません。
「自らのキャリア形成や職業生活設計に関心が高い」20代は31.6%います。彼らが、会社内の業務を「なりたい自分」と重ねることができれば、壁があっても乗り越えるでしょう。
ところで、前述の新聞記事によれば、「自分で考えたい」新入社員は20%未満。一方、「自分で考えるよう仕向ける」上司・先輩は70%。したがって、先輩や上司として、新入社員に今の仕事と「なりたい自分」との共通点を示唆してやることが、この時期を乗り越えるコツになります。そのためにも、仕事だけでなく彼らのビジョンについても、積極的に聞き役になりましょう。あなたも新入社員も、春には笑って成長を祝えますように。
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※1. 日本経済新聞2013年9月3日「新入社員の孤立感ケア」
※2. 独立行政法人労働政策研究・研修機構「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」(2012年3月発表)PDF