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キャリアか出産か? 女医に学ぶ、高齢出産の真実とは
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キャリアか出産か? 女医に学ぶ、高齢出産の真実とは

何かとリスクを指摘される「高齢出産」。しかし、団塊世代がアラフォーとなった現代、日本で産まれる赤ちゃんの4分の1近くが高齢出産によるものです。TVや雑誌等のメディアでも人気の産科医・宋美玄先生が語る「高齢出産の真実」から、働くアラフォー女性にとっての学びのポイントを考えてみました。

 

■ 楽観視し過ぎも、恐がり過ぎも間違い

宋先生の最新著書『高齢出産の真実(※1)』は、2012年に35歳でご自身も初めてのお子さんを高齢出産した体験談に沿って、昨今の出産事情について語っている本です。その宋先生曰く、昨今の高齢出産のメディアでの取り上げられ方は、例えばアラフォーの芸能人が続々と出産している情報だったり、高齢出産では先天異常児になるリスクが高いといった情報だったり、部分的にクローズアップされることで誤解を招いていると指摘。産科医にとって、高齢出産は珍しくもなんともない日常的なものであり、出産は20代だからノーリスクというものでは決してないと。筆者も35歳で妊娠36歳で出産した高齢出産の一人ですが、妊娠・出産では何もトラブルがなく、幸い数々の心配は杞憂でした。

 

■ 最大のハードルは?

高齢出産というと、どうしても染色体異常の子供を授かるリスクに注目しがちですが、宋先生によれば最大のハードルは「妊娠ができるか、そして流産せずに赤ちゃんが育つかどうか」だそうです。最近は卵子の老化が叫ばれ、35歳が妊娠の砦のように言われていますが、実際には女性ホルモンの分泌量が急激に低下して妊娠しづらくなるのは37歳ごろとのこと。また流産率は、35歳は約2割、40歳になると約4割なのだそうで、妊娠後の流産率がこんなに高いとは筆者も知りませんでした。一方、染色体異常の子供を授かる確率は、35歳で約200分の1、40歳で約80分の1となっており、安全ではないものの確実に妊娠するほうがよほど難しいことがわかります。

 

■ 欲しければ産むしかない!

高齢出産が気軽なものでないと分かっていても、キャリア形成期と出産適齢期が重なってしまい、妊娠が後手後手にまわることは多くの働く女性にあてはまります。筆者もいつか子供が欲しいと思いつつ遅くなってしまいましたが、決してのんびりしていたわけでも、子供のいない自由な生活に執着していたわけでもありません。キャリアを一人前にしたいと思えばこそ、出産が30代に差し掛かってしまうのが現実です。宋先生は高齢出産を「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と表現されており、様々なリスクがじわじわと増えるアラフォーの出産に本当にピッタリなイメージ。「欲しければ1年と言わず、1日でも早いほうがいい」。筆者が妊活に迷っていたころ、先輩ママにそう言われ、背中を押されたのを思い出します。

 

出産は女性のキャリアにとって大きなリスクテイク。でも、何がどの程度リスクなのか基本的な知識を知れば漠然とした不安を軽減することはできるはず! 働く女性のキャリア設計に正しい「高齢出産の知識」を仕入れてみませんか?

[執筆:藤崎 葉子 (キャリア アドバイザー) ]

 

【参考】
※ 宋 美玄(2013)『内診台から覗いた – 高齢出産の真実』中央公論新社

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