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卵巣年齢がわかるAMH、誤解されがちなポイント3つ
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卵巣年齢がわかるAMH、誤解されがちなポイント3つ

晩産化が進む中、「卵子老化」が話題になっていますね。今回は、卵巣機能の予備能力(卵巣にどれくらい卵子が残っているか)を調べることができる血液検査AMHについて、誤解されがちなポイントをお伝えしたいと思います。

AMH(アンチミューラリアンホルモン)とは、抗ミューラー管ホルモンとも呼ばれ、発育過程の卵胞から分泌される女性ホルモンです。この値では、ズバリ「卵子の在庫」の目安がわかります。卵巣年齢を知る指標として、不妊症治療の現場でも注目されています。

 

■ AMHが低いとどうなる?

見た目はとても若く美しくても、卵巣にある卵子が減るスピードが早すぎるため20代、30代で閉経してしまう方がいます。AMHの値が低いということは、卵巣年齢が高い状態、つまり卵子の数(在庫)が少なくなってきているのです。自然排卵が起こりにくくなったり、不妊治療で行う排卵誘発もうまく反応しないケースが多くなると言われています。

 

■ 卵巣年齢と卵子の質、妊娠率に関する勘違い

卵巣年齢が高いと、卵子の質も比例して劣化するとは一概に言えません。したがって、「卵巣年齢が高い」=「妊娠率が下がる」という理解は正しくないのですが、この辺がよく勘違いされるポイントのように感じています。

 

・誤解1. 「卵子は毎月卵巣で作られている」は間違い!

そもそも卵子は卵巣で日常的に作られているわけではありません。男性の精子は睾丸でどんどん作られているのでいつも“フレッシュ”ですが、女性も同様ではなありません。女性の場合は、生まれる前に作られた卵子が保管されているだけ。これが排卵の度に減少し、それとともに実年齢同様、卵子も年をとって古くなるのです。

 

・誤解2. 「AMH値が良好=卵子の質も良好」は間違い!

AMHの値が表すのはあくまでも卵子の在庫の目安であって、質の善し悪しは全く別。卵子の老化は実年齢に相関するため、同じAMHの値であっても、年齢が高くなればなるほど一般に妊娠への道のりは険しくなります。じゃあ、卵子の質はどこで分かるのか? というと、正確なところは体外に取り出してみないとわかりません。

 

・誤解3. 「AMH値良好=妊娠率が高い」は間違い!

AMHは妊娠率を語りません。「卵子の数が少ない」=「妊娠率が低くなる」ということではなく、あくまで不妊治療ができる期間が限られてくるということを示すものです。ですから、AMHが低くてもグレードのよい受精卵ができれば、その方の年齢なりの妊娠率は出るはずです。重要なのは受精に至る良質な卵が残っているかどうかなんですね。

 

いかがでしたか?

寿命がどんどん長くなっても、女性の生殖年齢は、残念ながら昔と変わりません。AMHの測定で「卵巣年齢」を把握することは、きっと人生設計の一助になるはずです。AMHは月経周期に限らず血液検査で手軽に受けられるますので、いつか産みたいと考えている方は、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]

 

【参考】
※ 河合蘭(2013)『卵子老化の真実』 文藝春秋
※ 六本木レディースクリニックHP 「AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査とは」より

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