派遣社員として働く場合、契約更新されるかどうかはとても大事なこと。そのためか、契約更新を1ケ月後に控える頃に「安定したい、正社員になりたい」と相談する方は少なくありません。慌てる前に、派遣=不安定を減らすべく、制度の見直しが検討されていることをご存知ですか?日本経済新聞の記事(※1)を参照し、まずは現状のおさらいから。
■ 制度の現状
派遣労働の種類は、派遣期間に上限のない「専門26業務」と「それ以外」に分けられます。後者は、同じ職場(派遣先)で働くことができるのは最長3年。期限を定めた主旨は、3年も仕事を任せていたのなら無期契約に変更すべし、という労働者保護の観点にありました。しかし、派遣先にとっては、直接雇用により費用負担が生じることに。そのため、たとえば3年に到達する間近に契約更新を停止する“雇止め”の問題が生じたこともありました。
■ 制度の見直しは派遣社員にとって朗報?!
制度の見直しで議論されているのは、以下の点です。
- 職種にこだわらず、すべての業務で期間制限のない働き方が可能(ただし、派遣会社と無期契約を結んでいる場合)。実現すれば、“安定したい”方には特に朗報ですね。
- 派遣先企業で3年働いた時点で、(1)派遣先に直接雇用を申し入れる、(2)新たな派遣先を紹介する、(3)派遣会社の無期雇用に転換する、のいずれかを、厚生労働省は派遣会社に義務付ける方向だとか。これも雇用安定をめざす策です。
このように、雇用の安定性に的を絞った議論が行われている様子。慌てて転職活動するよりも、現在の派遣先での仕事に3年間専念する戦略も、アリかもしれません。引き続き、今後の動向に注目しましょう。
最後に、法律とは無関係ですが、派遣社員として働くメリット・デメリットの整理もお勧めします。就業時間が比較的決まっている、決められた業務をこなせばOKなど。自力で応募することに比べて、面接(=職場見学)のハードルが一般に低いことも見逃せません。転職活動をするならば、自分で自分をPRする気持ちを強く持ち、進みましょう!
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※1. 『日本経済新聞』2013年8月21日「派遣継続、選択に幅 厚労省改革案」