今や男性の10人に1人が精子に何らかの問題を抱える時代。WHO(世界保健機関)の発表によると、男性側に不妊原因があるケースは48%。にもかかわらず、「不妊治療は女性が受けるもの」という誤解は、残念ながらなかなか消えません。
■ こんな誤解、していませんか?
- 精子は老化しない
卵子の老化は知っているけれど、精子も老化するの? とピンとこない人も多いのでは。男性は、女性のように「ある年齢以降、妊娠できなくなる」というようなことはないのですが、精子の質は35歳〜40歳を境にゆるやかに衰えていきます。加齢は精子を育てるホルモンや細胞、精子そのものの数を減らし、DNA損傷のある精子を増やすと言われています。筆者の家庭では、4回にわたる精液検査の結果、男性不妊専門医よりまさにこの部分を指摘され、不妊治療がスタートしました。
■ 精子の質を良くするために気をつけたいポイント
2013年11月3日に東京・品川で行われた、NPO法人Fine主催のイベント(※1)における講演で、男性不妊専門医である石川智基先生は次のようにおっしゃっていました。
- サウナはNG!
高温のサウナは精巣を熱にさらすため、避けるのがベスト。通常の温浴は極端な長風呂をしない限りOK。
- 禁煙!
喫煙は勃起不全(ED)の原因や、精子の運動率の低下、異常な形態をした精子の出現頻度を高める原因にもなります。
- 禁欲しすぎない!
女性の卵子と違って精子はどんどん生産されるので、射精を繰り返すことで精子の量が減るということはありません。逆に禁欲しすぎて精子を溜めてしまうと、運動率の低下やDNA損傷率の上昇につながります。精子の質をよくするには、1~2日程度の禁欲期間がベスト。治療の一環だと思ってどんどん出しましょう。
「高齢出産は女性の問題」。そんなふうに思っている方も多いかもしれませんが、このようにみてみると男性にも“適齢期”があるようにも感じます。とはいえ、必要以上に意識しすぎず、気になる場合やすぐに子どもが欲しい場合は専門医に相談してみるといいですね。同時に、日常的にできることも意識してみましょう!
[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰) ]
【参考】
※1. NPO法人Fine「Fine祭り2013 ちゃんと知りたい!男女の不妊」(2013年11月3日開催)
※ 石川智基(2011)『男性不妊症』幻冬舎