NHK教育テレビで放送されている「白熱教室」(※)という番組があります。 ハーバード大学の講義が2010年に初めて放送されて以来、世界中の大学や文化拠点が発信する秀逸な授業が視聴できるため、筆者も好きなテーマは時々視聴しています。今年最初の授業は「幸福学」。なんと、国・年齢・性別・宗教の有無等を問わず、人が幸福を感じるための条件があるというのです。
■ 幸福の条件
筆者の女性向け研修でも常に、キャリアを考える上では「自分の幸せのものさし」を 意識して欲しいと訴えていますが、人が幸せを感じるための「幸福の条件」が最新の心理学の臨床によって明らかになっているようです。大変おもしろかったのは、その「幸福の条件」とは非常にシンプルで、
- 人との交わり(社会との結びつきが強い)
- 親切心(人を助ける社会的行動や感謝の表現)
- ここにいること(上の空にならず目の前のことに集中できる)
の3つを実践できている人は多くの幸せを感じることができるということ。これらを見ると「社会との結びつき」が非常にポイントになっているように思えます。
実際、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学のエリザベス・ダン博士によれば、社会との交わりが強く良好な人間関係が築けている人はより多くの幸せを感じるそうです。そして意外にも、「社会との交わり」「良好な人間関係」は親しい友人や家族である必要は無いというのです。
■ 女性の幸せとは?
女性に関して言えば、一般的に幸せを感じられると思われている「結婚」であっても、2年も経てば幸福度はもとの状態に戻ってしまうという調査結果が出ているそうです。 同様に、不幸と思われる「夫の死」に見舞われても、2年ほど経てば幸福度が 回復して立ち直れるとのこと。
これは、あくまで平均値ですが、うがった見方をすれば夫の有無は女性の幸せには関係しないとも言えてしまいそうです。
確かに前述の「幸福の条件」の中にも、夫も子供も友人も出てきません。
では、社会としっかり結びつき良い人間関係ができる場といえば……職場ですね! 充実した仕事+人間関係で人は充分に幸せになれるのではないでしょうか? 筆者はこれを知った瞬間、非常に納得してしまいました。ワーキングマザーによく問われる「どうして家庭もあって子供もいるのに、仕事もしたいのか?」という質問はナンセンスですね。仕事を通して社会と結び付きを持つことは人間としての幸せの大原則なのですから。
この「幸福学」特に女性には興味深い示唆を与えてくれそうです! 筆者も今後も注目していきたいと思います。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※NHK Eテレ「白熱教室」