容姿端麗で気立てもよく、なんの問題もなさそうな女性が、本人は本気で結婚したいと思っているにもかかわらず、30歳すぎて随分たっても独りでいたりします。一方で特段美人でもないのに、複数の男性からアプローチされて、とてもよい結婚を決める女性もいます。
その違いは、いったいどこからくるのでしょう?
■ 男性は女性の信号を受け取っている!?
「男女の関係を持ちかけるのは、男性からが多数」と思っていませんでしたか? 実はコレ、殆どの場合は、女性から持ちかけているというのが行動心理学上一般的だというのです!
人間の求愛行動を研究している心理学者たちによると、女性が「近づいてきてもいいよ」というシグナル(大抵の場合、言葉ではなくしぐさ)を出し、男性がそのシグナルを受け取ってアプローチするという行動パターンが大多数を占め、逆に、女性がシグナルを出す前に男性がアプローチすることは滅多にないということがわかりました。
つまり、女性による「誘惑行動」が男女関係を始めるキーなのです。
ところで、この「誘惑行動」というのはどんな行動でしょうか? 予想から大きく外れていないかもしれませんが、横目で見る、髪をかきあげる、微笑む、笑い声をあげる、時には助けをもとめる、さりげないスキンシップなどなどが男性の気を引く行動だそうです。
これらの行動を自然にできる女性は誘惑行動レベルが高く、美人で魅力的だけれど誘惑行動レベルの低い女性よりも男性からアプローチされることが多いという観察結果もあります。
■ その後の関係を継続させるには?
衝撃的なことに一夫一婦制をとる哺乳類は全体の3%しかいないそうです。女性のひとつの目標が結婚だとすると、結婚後の夫婦関係が長続きするかどうか、相手が信頼できるのかどうかも非常に気になるところ。
実は、このことについても科学的に証明されている「長続きする為のホルモン」があるのです。それは、脳科学において、男女の絆を左右するのは「オキシトシン」「バソプレシン」というふたつの神経調整物質。
「オキシトシン」といえば、出産時に母体で大量に出るホルモンとして有名で、これは「母子の絆」形成でも重要。オキシトシンを与えた雌ネズミは自分に子供がいなくても、子供に近づいて世話をしようとするし、子供を産んだ雌ネズミでもオキシトシン受容体を遮断すると、子供を育てないという実験結果があり、絆形成に欠かせないホルモン。
「バソプレシン」は男性バージョンのオキシトシン。このホルモンは、父性に関係するといわれています。
どうやらこの母性と父性を育てるホルモンが、男女の絆にも働いているようなのです。
子供がいなくとも、男女ともこのホルモンが大量に放出される時があります。それは、男女の営み。つまり、よい性的関係をもてばもつほど、そのホルモンが沢山放出されて、相手を信頼しやすく、他の異性への興味が薄れるというのです。
やはり、結婚維持にも男女のロマンチックな関係は非常に重要だということですね。
普段、意識していない様々な行動が、ホルモンや行動科学に支配されているという事実には驚いてしまいます。しかし、「ホルモンで動かされているのだ」と理解することで、自分をコントロールでき、また相手を動かすことができるかもしれません。
[執筆:マキコ・アサエダ(産後ライフプランナー)]
【参考】
※ サンドラ・アーモット, サム・ワン(2009)『最新脳科学で読み解く 脳のしくみ』東洋経済新報社