男性秘書が増加中というのは、秘書をめざす女性にとっては衝撃的! かもしれませんが、ご心配なく。ドイツについての記事(※1)です。5年前には、「秘書コンテスト」で男性が初めて優勝し、もはや「秘書」という言葉すら死語なのだとか。男性が増えつつあることといい、この変化の理由が気になりますね。
ところで、日本でも数年前から、事務職志望男子が、新卒既卒に関わらず増えている実感があります。相変わらず、「秘書を含む事務職=女性の職業」との意識が強い日本ですが、数年先にはガラリと変わっている可能性が?!
■ 求められるスキルの変化
冒頭の記事によれば、以前はドイツでも、秘書は典型的な女性の仕事だったとか。その後、時代とともに「エグゼクティブ・アシスタント」「チーム・アシスタント」などと呼び名が変わるとともに、書類の清書やお茶出しなどのイメージが消えたそう。
現在では、複数の言語を操り、一般教養は必須。上司の代理を務められるスキルの高さと気配りを持ち、プレッシャーにも強いというマルチさが求められているとか。今や、秘書養成校の生徒の4分の1が男性に。
ドイツの秘書は、上司の補助ではなく、上司に並び右腕のごとく働くことが期待されているようです。経営学や、財務諸表を理解できる知識なども備えているかもしれません。
さて。典型的な女性の職業、男性の職業、という見方が薄まりつつある例は、日本にも既にあります。日本経済新聞の記事(※2)によれば、1999年には「保母さん」「保父さん」の呼び名が、保育士に統一されました。男性保育士の数は、年を追うごとに増えており、2009年度には1万人に迫るほどに。
また、企業においても、拘束時間が比較的一定する事務系職種(たとえば、人事・総務・経理部門)では、男女ともに配置している率は8割超なのだそうです。
ところで、求人企業から、全社員に「日商簿記3級」取得を奨励している、と聞くことがあります。全員が経営センスを持つべし! の一環だとか。「事務職=補助的な仕事」というイメージは、日本でも過去のものになりそう。求められるスキルの変化に応じられるよう、準備しましょう!
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※1. 『日本経済新聞』2014年1月14日「ドイツ 増える男性秘書 薄れる職の性差」
※2. 『日本経済新聞』2013年8月8日「職業の垣根越える」