10年も同じ会社で働いてきた、30代半ばのAさん。ここ2~3年の職場の人間関係に嫌気がさして、どうしても転職したい! とご相談に。応募書類の通過率は約3割と、なかなかの成果で面接に行くのにうかない表情でした。
どうやら「仕事に愛着があるのに転職していいのか?」と悩んでいる様子。みんなは転職に後悔しないのでしょうか? とも。
この悩みは、良い兆候です。その理由を、エン転職コンサルタントの調査結果(※)を参照しつつ、お伝えします。
■ やりたいことを実現できたのは3割
前述の調査によれば、転職で実現したいことの1位は「やりたい仕事ができる環境での就業」。それに対して「よく実現できた」「実現できた」と回答した30代は、29%でした。ちなみに、20代~50代を平均すると37%。
仕事経験をある程度積んでいるにもかかわらず、30代の転職は手放しで成功!とは言い難い様子がうかがえます。
■ とにかく辞めたい、は危険
「やりたいことをあまり実現できなかった」「実現できなかった」原因はなんでしょうか? 前述の調査によれば、40%超は以下の3つを挙げています(3つほぼ同率)。
- 入社後、会社の状況が変わってしまったため
- 入社前の情報収集が不足していたため
- 急いで決めてしまったため
回答者の詳しい理由も読むと、会社は生き物とよく言うけれど残念でしたね…、生活がかかっていたのなら仕方ないですね…など、各人に共感する部分もあります。
一方、注目したい理由は「現職に対して早急に離れたい思いが強すぎた」。「もう嫌だ!」と思う気持ちよりも、とにかく辞めたい気持ちが勝るときは、転職に失敗するのではと思うことが賢明です。冒頭のAさんは、面接を受けながら“隣の芝生が青く見えているのでは?”と気づき始めているのでしょう。
転職活動をやってみて気づくこともあります。これでいいの? と思ったら、立ち止まって自問自答することをお勧めします。キャリアコンサルタントもお手伝いします!
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※エン転職コンサルタント『第87回アンケート集計「転職で実現したいこと」について(2013年版)』