埼玉県の東部中央にある北本市をご存知でしょうか? 埼玉県の方でないとなかなか場所等がわらかないかと思います。その北本市では、今年の春から1年間、育児休業中の賃金を全額保証する新制度を設けることで注目を集めています。
■ ちなみに…、一般的な国の制度をおさらい!
育休中の収入に関する一般的な国の制度についてご説明しておくと、育児休業中は雇用保険の育児休業手当が支給されることになっています。
- 2年間の内に、一ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あることが条件
- 支給期間は1年間
- 金額は月給の5割×日数分
(例)月給20万円の場合
20万円×0.5=10万円
10万円×休んだ日数
- 上限あり(日額金額1万4310円)※お給料がたくさんもらえていても、限度額以上はもらえません。
- 育児休暇を取得せずに仕事復帰をする人、育児休暇を取得せずに会社を退職する人、雇用保険に加入してないない人は育児休業給付金をもらうことはできません。
■ 北本市の制度の内容は?
北本市の場合は、国の支給で足りない賃金収入分を「全額」、市が補うとのこと。
(例)月給20万円の場合
育児休業給付金 20万円×0.5=10万円
市からの援助 10万円
合計 20万円
北本市では、国の育児休業制度に基づく育児休業給付金を受給している市内の男女が支給対象になるようです。また、上限も特に設けてはいないようです。
一番重要なのが、市税(住民税)や保育料、給食費などがきちんと支払われていて、滞納していないことが条件になるそうです。
また、給付期間は1年間。4月からの支給を予定としています。
■ 北本市の取り組みの背景は?
子どもの出生数が少ない理由として、「お金がかかりすぎる」という理由が挙がっており、出産・育児に対する根本的な経済支援が必要という認識がひとつ。
それから、働き手確保のために女性の就業率向上が求められていますが、出産を機に退職する女性が6割にのぼっているため、育児休業をとりながら働き続けることに、大きなメリットがある制度の導入が効果的という認識があるようです。
「女性が経済的に安心して出産し、かつ働き続けたいと思う社会を構築するために」と、取り組みを進めているようです。
北本市のように各自治体でも少子化対策や、子育てをしながら働く世帯に対しての支援を行っているところは増えています。このような自治体の情報は、どうしても見逃しがち。出来るだけアンテナを張り、見落とさずにいてほしいと思います。
[執筆:三木育美(保育情報アドバイザー]
【参考】
※ 『日経新聞』2014年2月17日「埼玉県北本市、育休中の賃金を全額保証」
※ 「北本市定例記者会見項目」(2014年2月14日発表)PDF