仕事や家事、育児にと女性の1日は何役もこなしながらの忙しさ。「誰も手伝ってくれない、理解してくれない、認めてくれない…」。毎日の孤軍奮闘に堪え切れず、つい涙が溢れた経験が女性なら誰にもあるはず。そんな時は悲しみが消えていくのをじっと待ちますか? 悲しみからの立ち直りに役立つ、感情の切り替えスイッチについてお伝えします。
■ その涙、○○に似ていませんか?
筆者のカウンセリングルームでもご自身がお話し中に涙を流す女性は少なくありません。この感情の揺れは心理的な「雨降り」状態で、下記リストのカッコ内では雨のタイプと関連付けました。
ご自身が泣く時の状況を思い出して、イメージしてみてください。
- 感情を押さえきれずに突然泣き出す (夕立)
- 心に痛みを感じるような沢山の涙 (雷雨)
- いつ止むとも分からない、シトシトと長引く涙 (梅雨)
- 群発的に何度か泣く (五月雨)
- 嬉しいことを話しながらも泣く (花散らしの雨)
涙の状態を雨に置きかえてイメージすると、渦中の本人にも状況把握がしやすくなります。
■ セットで考えたい、悲しみの涙とその後
雨降りに出現するのが虹。水蒸気になった雨粒がそれぞれプリズムの役割をし、太陽光が波長の長さによって分光されて出来る現象です。
波長の違いは7色に見えるという説(※1) にあるように、視覚から取り込こまれる美しい光のスペクトラムは脳内の海馬を刺激、心地良い感情を呼び覚ましてくれます。空に掛かる虹を見つけた時、誰かにも教えたくなるのはそんな気持ちからでしょう。青空に描かれた虹は、泣き晴らした後に自分で掴んだ「答え」を象徴しているのです。
■ 「虹ウォッチャー」からのメッセージ
筆者も、涙を克服する虹のウォッチャー(観察者)のひとり。記事の写真は旅先のハワイで突然の雨の後に思わずシャッターを切ったもの。写真集『night rainbow 祝福の虹』(※2)においては月明かりの下でも現れる虹にも遭遇、昼夜を問わず発生する涙に対して虹は救いの象徴のようです。大好きな場所や行ってみたい土地の「消えない虹」を心に刻むことも、涙と悲しみから新たな感情への移行に役立ちます。現在から未来へ架かる壮大な虹とその下にいる自分を意識し、感情の雨上がりを早く迎えましょう。
涙からの立ち直り・悲しみの切り替えスイッチは、実は身近な空にあるということをお伝えしました。視線を空に向けて虹の下で深呼吸! 感情のスイッチを上手に使って悲しみからスッキリと切り替わった後は、新たな感情に出会ってくださいね。
[執筆:桜井まどか(心理カウンセラー) ]
【参考】
※1. アイザック・ニュートン 島尾永康 訳 (1983年)『光学』岩波書店
※2. 高砂淳二 (2003年) 写真集『night rainbow 祝福の虹』小学館