しつこいセールスを断る。注文した商品やメニューと違うものが提供されたときに「違います」と言う。できますか?
筆者は、不要なものであれば普通に「要りません」「違います」とハッキリ言える方ですが、ある時、一緒にいた友人がこう言いました。「あなたはハッキリ言えていいな。私は気が弱いから、言えない。自分が我慢しちゃう」。
彼女だけではありません。誰かからの(しかも知らない人やセールスであっても)頼みを断ることに、苦手意識や罪悪感をもつ人は少なくありません。
でも、断ることは悪いことでしょうか? こちらが一方的に我慢しないといけないものでしょうか? 今回は、気が弱くて他人からの依頼を断れない方に、上手な断り方をお伝えします。
■ アサーティブなコミュニケーションを知ろう!
「断る」ということに限らず、自分の要望や意見を相手に伝えたいときに、覚えておくと良い方法があります。それは「アサーション(assertion)」。アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現方法のこと。アサーションができている状態を「アサーティブ(assertive)」と言います。
アサーションの考え方では、自己表現のタイプを3つに分けています(※)。
- 攻撃的…怒りや一方的な主張で意見を通そうとする(私はOK、あなたはOKではない)
- 非主張的…自分が我慢することで自己主張しない(私はOKではない、あなたはOK)
- アサーティブ…相手を尊重しつつ自己主張する(私もOK、あなたもOK)
この3つを意識したうえで、アサーティブなコミュニケーションを行うようにすると、上手に断ることができるようになります。アサーティブであれば、あなた自身が我慢する必要もなく、相手が不快な思いを抱くこともありません。
では、「攻撃的/非主張的/アサーティブ」の具体例を挙げてみましょう。
■ ケース:しつこい電話セールス
仕事中に営業の電話がかかってくることもありますよね。そんな時どのようにすれば、罪悪感も怒りもなく対応できるでしょうか。
・攻撃的な対応
相手が話している途中で、無言で電話を切る。「しつこい営業やめてください!」とキレる。
・非主張的な対応
「忙しいのに…」と思いながら、相手の話を聞き続ける。ハッキリ断れず「検討します」と言い、また同じセールスの電話が来てイライラする。
・アサーティブな対応
「せっかくのご案内ですが、弊社では現在そのサービスは不要かと思いますので、お断りさせて頂きます」と明確に断りを伝える。
いかがでしょう? あなたがもし、セールスの営業マンだったとして、アサーティブな対応であれば不快には思わないのでは? 営業数字につながらず多少ガッカリするとは思いますが、何がなんでも、その顧客である必要もないわけです。
断ることに罪悪感をもつ必要はないのです。ましてや、気が弱くたって自己主張はできます。ぜひ、アサーティブな対応を身につけてストレスの少ない日々を送ってくださいね。
[執筆:菅野彩子(ノーツマルシェ編集部)]
【参考】
※ 平木典子(2012)『よくわかるアサーション 自分の気持ちの伝え方』主婦の友社