働き続けたい女性にとって、家事・育児をどこまで自分たちでやるのかが悩みの種だと、キャリア相談で感じます。便利な家電や中食を利用するにしても、これだけは自分たちの手でやりたいと考える部分がありますよね。そうすると夫も妻もお互いを頼りにするのですが、どの程度アテにできそうでしょうか?
■ 妻の分担約8割
『日本経済新聞』が、平日の家事・育児分担は夫婦で何割ずつかを、働く既婚男女に調査(※)。それによると、女性から見た分担比率は妻79.0%、夫15.3%、男性から見た比率は妻76.4%、夫20.0%でした。
相手が考える以上に、自分は多めに家事・育児していると性別関わらず考えている様子がわずかですがうかがえます。別の言い方をするならば、家事・育児に対する相手の貢献をほんの少し値引きして見ているのかも。例えば、筆者はこのような会話を耳にしたことがあります。
「食器は洗ってくれるけれど、シンクの内側とかは洗ってなくて」
「あー。男の人って、そういう部分まで気がつかないよ」
2人の会話に参加したかったくらい、筆者はどちらにも共感。食器洗いに感謝するとしても、期待値に届いていない仕上がりへの不満。期待で「もう少し」とリクエストしてみたら、ダメ出しされたとヘソを曲げられたので諦めた……ありますよね。
■ 理想の分担、妻は夫に倍増を期待するけれど!?
前述の調査によれば、家事・育児の“理想”の分担比率は、女性にとっては妻62.2%、夫31.8%、男性にとっては妻71.3%、夫25.1%だとか。妻は現状の2倍分担してほしいと夫に望み、夫は現状よりもう少し頑張る程度。家事は妻がやる方がいいとの意識が夫にあるのか、仕事があるからこれ以上は無理だと思うのか……。理想像の差が気になります。
ところで、この調査では家事代行についても質問。結果は利用率1.7%、「他人が自宅に入るのがいや」「自分でできるので必要ない」「ぜいたく」など心理的に壁が高い様子。記事では、働く女性の利用が伸びると期待しています。
ですが、私たちが望む仕事と家庭の両立像は、夫婦で金銭的・体力的・精神的に無理なく協力できる姿。そのためには、家事・育児に対する男性の意識をもう少し変わることと、男性が平日の家事・育児にもっと関われる働き方が実現することが必要です。育児に積極的に関わる上司を指す「育ボス」という言葉が登場したことですし、少しずつ社会が、会社が変わっていると期待しましょう。
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント)]
【参考】
※『日本経済新聞』「家事代行って使ってる?」2014年8月23日