今年9月30日深夜から1日の未明にかけて、北海道南幌町で起きた祖母・母親殺人事件は、高校生の娘が逮捕される事態となり、世間を騒がせました。その後の調べで、娘に対し祖母、母親のしつけが厳しかったことが判明。過去には母親の虐待により娘が保護されたこともあったそうです。娘が母親や祖母に殺意まで抱くようになった経過、家庭環境はどのようなものであったのか真実はわかりませんが、母娘問題で祖母が影響しているケースは少なくありません。
■ 祖母の存在が母娘関係に及ぼす影響
母娘関係改善カウンセラーをしている筆者のところでは、祖母、母親、娘の三世代に関わる相談も受けています。その内容は大きく分けて3つあります。
1つは、祖母と母親との不仲により、間に入る娘が苦労するというもの。この場合、嫁である母親が姑とうまくいかず、ストレスを娘にぶつける傾向があります。
2つ目は、祖母を憎み、死んでほしいとまで思うことに孫娘が罪悪感をもつことです。孫娘の中には、祖母が母親を虐めていると思っている人もいます。そこで、なんとか母親を助けてあげたい、祖母さえいなくなれば母はもっと幸せになれる、そんな気持ちから祖母を次第に憎むようになってしまうのですが、一方でそのように思う自分を責め、罪悪感に苦しむのです。
3つ目は、祖母が非常に厳しい人で母親がそれに逆らえないような場合、孫娘が祖母のターゲットとして虐待される可能性があります。孫娘は、自分が悪いことをすると母親が祖母から叱られると思い、必死にいい子を演じます。何もかも母親のためと思って我慢するのですが、娘をかばうどころか逆に祖母の矛先を孫に向けさせようとする母親。それは、母親が祖母の標的にならないためでもあるのです。娘は裏切られた思いを抱き、祖母と母親に対し憎悪するようになります。
北海道で起きた殺人事件の背景にこうした心理があるとは断定できませんが、実際のカウンセリングでは、祖母や母親を殺したい程憎んでいる心境を伺うことがあります。 問題は、クライアント(相談者)がこのような心境に至るまで追い詰められてしまう現実です。家庭内のことは友人知人に話しづらいでしょうが、たとえば頼りになれそうな親戚やいとこに相談することもできるのでは。あるいは、カウンセリングの利用もあります。重要なのは決して悩みを一人で抱え込まないようにすることです。
[執筆:真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※『朝日新聞デジタル』「高2「しつけ厳しく」…虐待通報も 母と祖母殺害容疑」2014年10月2日