安倍政権が看板に掲げていた女性活躍推進法案が、衆院解散で廃案に。法制定を求めていた人たちから失望の声が上がっています。筆者も仕事がら多くの企業の女性活躍に携わる中、その本気度が今年は今までで最も高まっているのを感じていたので、非常に残念です。法律でのしばりが頓挫する中、今後企業は女性活躍への意欲をなくしてしまうのでしょうか。
■ 女性活躍推進法案とは?
そもそも、女性活躍推進法案とはどんなものかというと、メイン施策としては企業に対し、管理職に占める女性の割合などを把握したうえで、女性登用の数値目標を設定するよう義務付けていました。大手企業では法案成立前から独自の目標値を設置し、積極的に管理職の育成に取り組んでいます。しかし一方で、働く女性の6割を占める非正規雇用に関する施策が盛り込まれていないことや、管理職数に非常にこだわった内容となっており、働く女性の現状に合っていないという批判もあります。
■ 評価する政策で最多に
とはいえ、第2次安倍政権で評価する政策として、11月23日付『日経新聞』WEB版によれば、「女性の活躍促進」が21%で最も多くの指示を得たことも事実。今までなかなか進まなかった女性が働き続けるための環境整備にこれほど話題が集まった年は、1986年に雇用機会均等法が施行されて以来、初めてだと思います。筆者の提供している女性のキャリア支援をテーマとした各種サービスも、問合せに対応できないほど忙しい年となりました。
■ 企業での現状は
では、女性活躍推進へのニーズや期待は、政府による後押しや義務化へのプレッシャーに迫られたことだけが理由で盛り上がったのでしょうか? 働く女性へのキャリアカウンセリングや、企業での女性研修に多く携わる筆者としては、それだけとは思いません。多くの女性が実際に仕事の現場で活躍し、結婚・出産を経てもキャリアを継続しようという意欲そのものが高まっていると感じているからです。企業側も重要な戦力として女性にキャリアを維持して欲しいと考えています。政府の目標を追いかけるだけでなく、自社の現状に合った対応策は何かを1社1社がきちんと考えているのです。
筆者も、今回の廃案騒動にくじけることなく、引き続き女性のキャリアを支援していきたいと思います。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]