「まったく同じ仕事をしているのに、Bさんの方が給料高いんですよ。信じられます?!」と憤り、筆者のところへキャリアカウンセリングにお越しになったAさん。言葉の端々から、「上司に気に入られているからってズルイ、私の方が仕事しているのに」との気持ちが伝わりました。
同じ仕事なのになぜ私の評価が低いの?! という悩みは、決して少なくありません。そのようなことが起きる背景を考えてみました。
■ 仕事の評価要素とは?
あなたは、給与を構成する要素をご存知ですか? 給与の基本を占める「基本給」の代表的な要素は、年功・成果・職能・職務で、年功や職務の比率の高いパターンが多いようです。なお、「職能」とは職務遂行能力のこと。「職務」とは仕事における知識、熟練度、責任の度合いなどを序列化したもの。
『日本経済新聞』の記事(※1)によれば、日本企業といえば年功序列のイメージがあるものの、年功序列部分は生活保障としての基本給だけで、仕事の内容とそれに伴う報酬で差をつけてきたのだとか。また、仕事(筆者注:職務遂行と考えてよいでしょう)の評価指標には、成果、労働時間、効率性など様々あるそうですが、「情意(態度)」という言葉も。
効率性や情意を評価するのは……普段の仕事ぶりを見ている上司です。このように、給与は多面的な指標で構成されていることを知っておきましょう。自分の視点だけが正しいわけではないことに気づくことは、対処策を考える第一歩です。
■ 上司の攻略が必要?!
では、上司に気に入られる必要があるのでしょうか? 答えは、ある意味イエス。マイナビウーマンの記事(※2)から、次の2つのコメントを引用します。
「ゴマすりだけで成果のない人物を可愛がる上司は少ないはず。評価される人は上司に期待される仕事をしているのでは?」
「後輩ができてから、お世辞でも褒められればうれしいし、慕われれば可愛がってしまうものだとわかった」
上司は部下を公正に評価してくれると期待したいけれど、人間ですものね。自分はデキるのになぜ?! と感じるときほど、意識的に周囲とコミュニケートし、助言を求めたりしてみては。冷静な気持ちになり、状況を客観的に見る余裕が生まれ「なぜ?」の理由を考えられるはず。努力の方向が間違っていたら、もったいないですよ。
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント)]
【参考】
※1. 『日本経済新聞』「成果主義は下火に 企業、個人の働きどう評価」2014年3月22日
※2. 『マイナビウーマン』「人事のプロがこっそり教える“会社で評価される人、されない人”の違い」2014年11月6日
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