今年の春、育児休業からの仕事復帰を予定しているママ達にとって、幼いわが子を預ける罪悪感はどうしても払拭できないもの。筆者自身も、0歳から子供を預けることに対して周囲から心配するコメントがあった際に、それでも子育ては大丈夫と言いきれないことが辛かったです。そこで、乳幼児期の子育てに本当に必要なことを知りたくて出会ったのが『その子育ては科学的に間違っています』(※)という本。今回はこの本から、子育てに必要な科学的な見解をご紹介します。
■ 「3歳児神話」は本当?
日本でよく言われる「3歳児神話」。「3歳児神話」とは、子育てにとって3歳までが重要なので、3歳までは家庭で母親の手で育てないと、子供のその後の成長に悪影響を及ぼす、という趣旨の論調です。これについて、1998年に旧厚生省がこの後半の部分「3歳までは家庭で…」に対して「少なくとも合理的根拠は認められない」と否定したことで、当時マスコミではセンセーショナルに報道されたとのこと。そのため日本では、「3歳児神話」は根拠のない伝説として以後多くの人が無視することになったというのです。
■ 0~3歳の時期の重要さ
その後、ユニセフが『2001年世界子供白書』において、3歳までの重要さについて科学的な研究結果より「生後の3年間がその後の子供の人生に影響を与える」という見解を示しました。これは、アメリカでの脳科学の研究結果を反映したもので生後36カ月の間に脳の基礎的な部分の発達がほぼ完了するというもの。日本では、このメッセージをあまり重視されず、これまで通り「愛情とスキンシップ」による対応が大事という子育て論が主流となり、幼児教育の改革に遅れが出たと医学博士・國米先生は指摘しています。
■ 3歳までの育児で大切なポイント
つまり、「3歳児神話」の“母親の手で育てないと”という部分はやはり神話でしかないようですが、“3歳までが重要”ということは科学的に根拠がある真実ということになります。そこで國米先生の著書からポイントをご紹介します。
- 授乳、抱っこ、添い寝と赤ちゃんの欲求を全て満たすことにとらわれ過ぎない
- 赤ちゃんのストレスにならない程度に「我慢や辛抱」の機会を与え自己抑制力を育て
- 虐待となるような強い恐怖心、怒り、反発心を引き起こす対応は絶対しない
愛情やスキンシップが大事であることは大前提ですが、子供の欲求に全て応えようとしてママがヘトヘトになることは、かえって赤ちゃんにとっても良くないと力説されています。
預けるかどうか、だけではなく子育ての本質をよく学び、罪悪感に振り回されないようにしましょう。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※ 國米欣明(2010)『その子育ては科学的に間違っています』河出書房新社
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