2016年度から本格的に始まる「地域限定保育士」。初めて聞く方も多いのではないでしょうか? また、なんとなく知っているけれど、実際はよくわからない方も多いと思います。その「地域限定保育士」が、特別区域では本年度から始まることになりました。地域限定保育士について、解説します。
■ 地域限定保育士とは
「待機児童解消加速化プラン」の確実な実施のため、保育士確保を目的として考えられた「保育士確保プラン」があります。そこに盛り込まれたのが、地域限定保育士制度です。
通常の保育士は資格を取得すれば保育士として働くことができます。保育士になるためには、下記の方法で資格取得をします。
- 厚生労働大臣指定の保育課程を持つ大学、短大、専門学校を卒業して取得をする
- 年に1回の試験を受ける
地域限定保育士の場合は、保育士不足が深刻な地域を「特区」として、通常の保育士試験とは別に試験日を設け、試験に合格すれば地域限定保育士として認められることになります。そして、地域限定保育士として3年間働いた実績ができると、特区以外でも働けるようになります。
最初は特区でしか働くことができないため、「地域限定保育士」というのです。
■ 特区とは「国家戦略特別区域」の略
特区に指定された地域は以下のとおり。
- 東京圏(東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区、神奈川県、千葉県成田市)
- 関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)
- 新潟県新潟市
- 兵庫県養父市
- 福岡県福岡市
- 沖縄県
このなかでも、地域限定保育士の試験を本年度行うのは、大阪府、神奈川県、沖縄県、千葉県のみとなっています。
保育士不足は本当に深刻。今までの試験は、年に1回しか受けられなかったため、年に2回受験することができれば、単純に考えて保育士が増えると思います。保育士不足解消の一歩として、筆者は期待しています。
[ 執筆:三木 育美(保育情報アドバイザー) ]
【参考】
※ 厚生労働省「保育士確保プラン」PDF
※ 厚生労働省「国家戦略特別区域」
※ 児童福祉法では「保育所」の表記が本来の名称ですが、一般的ではないため、本記事では「保育園」と記載しています。