4月26日から訪米中の安倍首相が、『ウォール・ストリート・ジャーナル』のインタビューに応えた記事が公開されています(※)。全体の内容についてはここでは触れませんが、本インタビュー内で安倍首相が「子供たちの意識調査について各国と比較した場合、(中略)自分自身に対する自尊心が持てないという子供が非常に多いことにもつながっている」と述べている部分は、興味深いと思います。そこで、今回は安倍首相の言葉にもある「自尊心」について取り上げます。
■自尊心とは
私たちは自分自身に対する評価や感情を持っています。基本的には、「自分は価値のある存在であるとみなしたい」ものであり、この感情のことを「自尊心」と呼んでいます。
ところでこの自尊心は自己評価と密接な関係があります。自己評価が下がるとき(何か失敗したときなど)、人は自然に、自尊心を守ろうとします。たとえば、セルフサーヴィング(成功したら自分の能力や努力の結果だが、失敗したら他者や環境のせいにする)やセルフハンディキャッピング(失敗が予想される行動の前に、あらかじめ失敗の口実を作る)といった行動が挙げられます。
■自尊心が持てない理由
この自尊心、現実の自分と理想の自分との一致度によって大きく変わってきます。つまり、現実と理想とが一致していれば、自分の役割や価値観をしっかり認識し、前向きに進むことができます。しかしこれらのずれが大きくなると、「自尊心が持てない」と無力感に苛まれたり、不満感、劣等感のもとになりやすくなるのです。
■自尊心を高める方法
シンプルな方法としては、理想を高く持ちすぎないことです。
理想の自分が高すぎるがゆえに現実の自分に満足できず、受け止められず、自尊心が持てなくなってしまうのです。理想を高く持つこと自体は悪いことではないですが、いきなり理想を追い求めても自分が苦しくなるだけです。現実の自分を受け止め、着実に一歩ずつ前に進んでいきましょう。
[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]
【参考】
※ 『The Wall Street Journal』 「安倍首相、歴史観や米国の思い出について語る」 2015年4月27日