埼玉・所沢市で「育休退園ルール」が言い渡され、保護者に不安が広がっていることが、6月15日のテレビ朝日が報じて話題となっています。これは2人目以降を産んで育児休業を取得している間、上の子が0~2歳児の場合には原則的に退園しなくてはならないというもの。これに対して、働くママは激怒! いったいどういうことなのでしょうか?
■ 所沢市・親「違法」申し立てへ
2015年6月20日『朝日新聞DAGITAL』によれば、「親が出産して育児休業に入った場合にそれまで保育園に通っていた子どもを3カ月後までに 退園させる」。そんな埼玉県所沢市の新たな方針は違法だとして、10人あまりの保護者が近々、市に退園させないよう求める仮差し止め をさいたま地裁に申し立てるとのこと。
市はこれまで園長の裁量を認めて、育休を理由とした退園は求めてこなかったそう。ですが、国の「子ども・子育て支援新制度」により、4月から市が入園調整を一括して管理することになったのに伴い、「育休中は家庭での保育が可能。園での保育の必要性が認められない」として 厳格運用に転じたのだそうです。
■ 2人目の育休中、上の子はどうする!?
では現在、他の自治体ではどうなっているのでしょうか? 育児休業中の上の子どもについては現在、待機児童がある自治体でも、継続しての在園を認めている実情があります。
筆者の子どもが通う、世田谷区の公立認可保育所でも、2人目の育休中も上のお子さんが退園したケースは見たことがありません。逆に、兄弟姉妹が在園中もしくは同時申込みについてはポイントが加算され入りやすくなため、上の子が在園中に2人目を急ぐ方が多いくらいです。
「子ども・子育て支援新制度」のパンフレットには、保育を必要とする事由の中に「育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること」という記載があり、基本姿勢としては、市町村が児童福祉の観点から必要と認めるときは、継続入所を可能とする考え方となっています。
しかし、今回の所沢市のように、市町村が上の子の保育の必要性を認めないケースがでてきてしまいました。働く親としては、2人目の育休明けに再入園ができるかどうか心配しながら、またせっかく慣れた上の子の保育園生活を中断して、家庭で複数の子どもをみるという負担を受け入れなくてはなりません。
所沢市は、“親が復職する際に申請すれば、再入園の選考時に加点して同じ保育園に通えるよう配慮する制度を設けた”としています。ですが、ただでさえ待機児童が多い中、その運用が確実な仕事復帰を保障できるのでしょうか? これから2人目を考えている働くママは、一度ご自身の自治体の対応を調べてみたほうが良いかもしれません!
[ 執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー) ]
【参考】
※『朝日新聞DAGITAL』「育休で上の子退園、所沢市が方針 親「違法」申し立てへ」2015年6月20日
※ 児童福祉法では「保育所」の表記が本来の名称ですが、一般的ではないため、本記事では「保育園」と記載しています。