「結婚・離婚」に関する、世相を反映した言葉が次々登場しています。最近浮上しているのが、「妊活離婚」と「産後クライシス離婚」というワード。
夫婦問題カウンセラーの筆者のもとにも、こうした悩みを持つ女性からの相談が増えています。
■ 妊活や出産で、夫婦間に大きな溝…
「妊活離婚」は、夫婦ふたりの子どもが欲しいと願い、妊娠活動に取り組んだものの、次第に夫婦の考え方や人生観に隔たりが生まれ、価値観の相違として「離婚」にまで発展してしまうケース。
「産後クライシス離婚」は、妊娠・出産し、可愛い子どもを授かったけれど、出産後、夫と妻の生活や意識の変化などが原因で、夫婦間に亀裂が入り、離婚にまで至ってしまうケースです。
子どもの妊娠や出産は、本来おめでたいことであり、夫婦二人にとって幸せの絶頂期でもあるはずなのに、なぜそうなってしまうのでしょう?
■ 出産後に訪れる夫婦の危機をどう防ぐ?
ここでは、「産後クライシス離婚」について触れてみます。
「産後クライシス」とは、出産後に起こる、夫婦関係崩壊の危機のこと。出産という大仕事を終えた女性は、喜びや感動があると同時に、心身ともに疲労困憊。さらに、誕生後も待ったなしで多忙な育児生活がスタートします。
女性は、身体や生活環境の変化を体験しながら母親になっていくわけですが、一方、産む性をもたない男性は、こうした女性の心身の変化について、心の底から理解するのは難しいのかもしれません。夫の心ないひと言や非協力的な態度に妻が過敏に反応し、育児や家事をめぐって意見がすれ違うように……。夫婦仲が険悪になり、セックスレスや浮気問題に発展してしまうこともあります。
■ 一人で抱え込まずに視野を広げる
筆者が学んだ「離婚カウンセラー養成スクール」の主催者、岡野あつこ氏の著書『産後クライシス』(※)によると、出産後の夫婦の危機を少しでも回避する方法として、以下のようなこと挙げています。
- 夫を「育児・出産イベント」などに連れ出す
- 周囲の人(家族・親戚・シッターなど)に協力してもらう
- インターネットで、自分の状況を発信する
- 夫に自分の気持ちを手紙で伝える(夫への愛情、自分の寂しさなど)
- シングルマザーの大変さを想像してみる
子育ては、そもそも一人でするものではありませんし、できるものでもありません。愛する子どもを腕に抱くことのできるあなたは、それだけで幸せなはず。すぐさま離婚と結びつけるのは早急すぎますよ。
ポイントは、一人で抱え込まないこと。ぜひ視野を広げて、いろいろな方法を試してみてくださいね。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※ 岡野あつこ(2013)『産後クライシス-なぜ、出産後に夫婦の危機が訪れるのか』角川学芸出版
※ 写真:visivasnc / 123RF.COM、本文とは関係ありません