労働安全衛生法の改正により、50人以上の事業場は、今年12月から1年の間に少なくとも1回、労働者に対してストレスチェックを行うことが義務付けられました。ストレスチェックとは、ストレスに関する質問に答えることで、自分のストレスの状態を知ることができるという簡単な検査です。
今、義務の対象となる事業場では、ストレスチェック制度導入にあたり、その準備に大忙し。人事労務など管理部門の担当者の方々から、どこから手を付けていいのかわからないなどという切実な声も聞こえてきます。
さて、この制度、ストレスチェックを受ける側にとっては、どのような利点があるのでしょう。
■ 自分で自分のストレス状態に気づいて対処する
このストレスチェック制度ですが、目的は3つあります。
- 一次予防を主な目的とする。(労働者のメンタルヘルス不調の未然防止)
- 労働者自身のストレスの気づきを促す
- ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる
ストレスチェックの検査を受けると、あなたが今、どんなストレス状態にあるのかを知ることができます。一次予防というのは、自分自身でストレス状態に気づき、自らストレス対処を行うということです。
いつもと違う状態に早く気づくことで、ストレス解消法を行ったり、休養したりできるというわけですね。
■ 職場環境改善のきっかけにもなり得る
ストレスが高い状態の場合、医師の面接を受けることができます。仕事の量を軽減するなどの具体的な措置を会社側に実施してもらうことも。
また、会社がストレスチェックの結果を集計、分析した場合は(集団分析は努力義務)、あなたの属する集団(部門や支店など)が、全国平均や職場ごとの平均と比べて、どのような問題があるかをみつけることができます。例えば、上司や同僚の支援が少ないなどのなんらかの改善点がある場合は、これらの分析結果が職場改善のきっかけとなることもあるのです。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー)]
【参考】
※ 厚生労働省「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」