朝日新聞が20政令都市及び23区の待機児童数を調査したところ、2015年4月の待機児童数は7千人となり、前年よりも16%減った数字になったそうです。待機児童問題が叫ばれる中、保育園を増やしたり、定員数を増やしたり、各自治体が頑張った結果、待機児童の減少につながりました。しかし、“隠れ待機児童”とよばれる人数は約3万人もいたことをご存知でしょうか?
■ 隠れ待機児童とは?
隠れ待機児童数とは、認可保育園に入園できていないにも関わらず、待機児童数にはカウントされない子ども達のこと。認可保育園に入園できていないのに待機児童扱いにならないのはなぜ? と疑問が生じますね。
例えば、認可保育園に入れず、母親が育児休暇を延長した場合。これは家庭で保育ができるると判断されてしまい、待機児童には含まれないのです。また、認証保育園など自治体が補助をする施設に入園できているのであれば、「認可園に入れなくても預かってもらえている」とみなされ、待機児童には含まれないのです。
■ 待機児童数の定義は、自治体によって違います!
上記のような待機児童に対する考え方は自治体によってズレがあります。
例えば、待機児童数が一番多いとされている世田谷区は母親が育児休暇を延長した場合は待機児童扱いとなるため、実際の待機児童数と公になっている待機児童数との差は、殆どありません。しかし、育児休暇を延長した場合を“待機児童”とカウントしていない場合は、当然ズレが生じます。
そのような場合は、待機児童数が一番多くなるのは大阪市。その後、横浜市、川崎市、さいたま市、杉並区と続きます。横浜市も川崎市も待機児童数がゼロになったと発表しているので、待機児童がいないと思っている方も多いと思うのですが、実は待機児童数が多くなっているのが現状です。
ご自身の自治体がどのような定義になっているのか、わからないかと思うのですが
・待機児童数=申込人数-入園できた人数
ですから、「申込人数」と「入園できた人数」を、役所に聞いてみると本来の待機児童数がわかると思います。ただ、本来は待機児童数がいないのが一番良いこと。早く待機児童問題が解消されることを願います。
[執筆: 三木 育美(保育情報アドバイザー)]
【参考】
※ 『朝日新聞DIGITAL』「「隠れ待機児童」3万人 役所発表と異なるのはなぜ?」2015年8月3日
※ 児童福祉法では「保育所」の表記が本来の名称ですが、一般的ではないため、本記事では「保育園」と記載しています。