夫婦はいちばん身近な他人だからこそコミュニケーションが大事。自分の思いを押し付けないようにしましょう。そんなこと、頭ではわかっていますよね。筆者も、かつて結婚生活を送っていた時は、どうやっても相手に自分の思いが伝わらず、躍起になっていたことがあります。その当時、この本があればよかったのに、と思わせてくれたのが、『ぜったい離婚!から素敵な夫婦三昧 妻と夫のカウンセリング』(※)という金盛浦子さんの著書です。
■
相手の言うことに反論せず、黙って聞く
議論しながら自分の主張をどうしても聞き入れて欲しいときは、次のような手立てを踏むのがいいそうです。
・第一段階
相手の言うことに反発はもちろん、反論もしない。黙って聞く。
・第二段階
相手の主張に対する同意や受け入れの言葉を伝える。
(ちょっと悔しい思いをするが、ここを乗り越える)
・第三段階
まだまだ反発・反論はしない。同意しながら聞き続ける。
(この段階で、相手の感情が静まっていくのがわかる)
・第四段階
ここで、いよいよ自分の主張をする。
(声を荒げない。押し付けではなく、提案として静かに伝える)
・第五段階
もし相手が反発してきたら、反論せずに、「そうか、そうだね」と、相手の言うことをいったん受け入れる。そして、ここまでで議論を終わりにする。さらに、自分の主張を繰り返す必要はなし。
以上です。
■
機嫌が良くなると人は共感しやすくなる
金盛さんいわく、こう続きます。
「表向きの自己主張は弱いかもしれません。本当は相手に折り合ってほしいのに、これじゃ少しも折り合えてもらえないのではないか、という心もとなさもあって当然かもしれません」
「けれど結果は、自分の思惑通りに展開する可能性が高くなります。 まず相手の機嫌がよくなります。機嫌が良くなっている相手は、知らず知らずのうちにあなたの主張に共感しやすくなっています」
なるほど、人は機嫌が良くなると寛大になるのですね。議論中は反発していても、現実場面では、自分の主張通りの言動を見せてくれるようになる、ということです。
筆者も子育ての現場で応用してみましたが、この方法、確かに効果はあるようで、結果オーライなのです。
単に感情をぶつけるだけではなんの進展もありません。話し合いも言い方ひとつ。自分の主張を相手に聞き入れてもらいたいときは、ぜひ取り入れてみてくださいね。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※ 金盛浦子(2001)『ぜったい離婚!から素敵な夫婦三昧 妻と夫のカウンセリング』佼成出版社
※ 写真:Dmitriy Shironosov / 123RF.COM、本文とは関係ありません