季節に関係なく、年間を通して離婚相談を受けていますが、特に多いのが「1月」です。また、ゴールデンウィークやシルバーウィークなど、大型連休のあとも、比較的相談件数が多い傾向にあります。それは、なぜだかわかりますか?
■ 「長時間密着」すると夫婦間に溝が入る?
理由のひとつとして挙げられるのが「いつもと違う場所で、配偶者と長時間密着」したため。配偶者の実家を訪ねたり、旅行に出かけたりすることで、パートナーに対する不満をためやすいのです。
年末年始に配偶者の実家を訪ねる機会は多いことと思います。その際、義理の両親や兄弟姉妹、いとこなど親戚一同と会い、ともに食事をしながら会話をし、普段とは違う時間を過ごし、ときには宿泊を伴うことで、心身ともに神経を使います。
とくに、「嫁の立場」である妻の場合は、嫁や義姉、義妹という立場になることで、慣習やしきたりの違いなどに遭遇し、気疲れするのかもしれません。多分に神経を使ったぶん、自宅という自分の居場所に戻った途端、張りつめていた緊張の糸が切れて本音が噴出。
怒りの矛先が夫に向かい、「あなたは~してくなれかった」「かばってくれなかった」「自尊心を傷つけられた」と、不満や愚痴がフツフツと湧いてくるようです。
■ 謙遜や照れ隠しは不要です
もちろん、妻に限らず、夫も神経を使っているのですが、どちらかというと、妻の方が不満がたまりやすい傾向にあり、年末年始や大型連休のあとは、夫婦関係に溝が入る可能性が高いので要注意です。夫婦間の溝を防ぐ手立てとしては、やはり、配偶者に対する気遣いと思いやり。
最近こそ、ずいぶん少なくなりましたが、以前は、謙遜や照れ隠しからか、両親や親せきの前で、「妻を見下す夫」という図式がよく見られました。もちろん、これは言語道断。むしろ親戚の前で、妻のいいところをたくさん褒めてあげてくださいね。
馴れ合いになるとつい甘えや横柄な態度をとりがちになる夫婦ですが、もともとは赤の他人同士。「親しき仲にも礼儀あり」「自分がされて嫌なことはしない」を常に意識して、どんな状況でも変わらない接し方を心がけたいものです。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]