今年8月末に「女性活躍推進法案」が成立、女性管理職の比率アップを目標に掲げる企業が急増し、筆者もこの秋は女性リーダーの育成研修の実施が増えています。しかし、管理職候補として選抜された女性たちが必ずしも管理職に前向きかというとそうではありません。そこで今回は、管理職になってほしいと会社に言われたら、どんなふうに考えれば前向きになれるか、ポイントを3つお伝えします!
■ インポスター症候群にご注意
「インポスター症候群」(※1)とは、何かを達成しても成功を自分の力によるものだとは考えられず、ただ運がよかっただけだと思い込んでしまう、自己評価が異常に低い心理状態のこと。この問題が注目されるようになったのは、米フェイスブックのCOO(最高執行責任者)であるシェリル・サンドバーグ氏が著書『LEAN-IN (リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 』(※2)で、自らインポスター症候群に悩まされていたことを告白したのがきっかけでした。
インポスター症候群は、一般に男性より女性のほうが陥りやすいといわれますので、自己評価を低く考えすぎないよう注意しましょう。
■ 機会によって自らを変えよ
リクルート創業者である江副浩正氏によって作られた「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉は、まさに女性が管理職を依頼された時に思い出してほしい言葉です。筆者自身も未知の仕事に挑戦する際に何度もこの言葉に助けられたました。人は与えられた役割に必死に追いつこうとすることで自然に必要な力を身につけ成長するものです。
例えば皆さんに子どもができれば、「母親」という未知の役割に向け誰しも必死で学び、いつしか一人前の「お母さん」になれるのですから。
■ リスクをとらないリスク
多くの働く女性達が管理職と聞くと、最初に感じるのは「リスク面」のネガティブな印象です。「責任が重くなる」、「残業が増える……」しかし、これらは判断力やマネジメント力など管理職に必要なスキルが身につけば解決できることも多いのです。それよりも皆さんにとってリスクなのが、今後のキャリアにおいて成長のチャンスを失うこと。これから優秀な後輩が続々と現れ、いつしかそうした後輩の部下に甘んじることになるかもしれません。キャリアアップの意欲のある人に成長の機会、いわゆる「いい仕事」がまわっていき、自然とチャンスが集まるものです。
管理職という、一見リスクに見えることも、長い目でみればチャンス。そのチャンスを逃すことのほうがあなたのキャリアにとってリスクとなるかもしれません。
私がお仕事で出会う女性管理職の皆さんは、とてもチャーミングで仕事に真っ直ぐに向き合う真面目な方が多く、仕事を楽しんでいます。仕事に真摯に向き合う姿勢さえあれば、どんな女性でも素敵な管理職になれるのではないでしょうか。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※1.日本の人事部「インポスター症候群」2014年12月19日
※2.シェリル・サンドバーグ(Sheryl Sandberg) (2013)『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』日本経済新聞出版社
※写真:Ushico / PIXTA、本文とは関係ありません