乾燥する11月頃から特に多く発生するノロウイルスによる感染性胃腸炎。国立感染症研究所のホームページによると、2015~2016年シーズンもすでにノロウイルスの検出報告が増加傾向にあることが分かります(※)。ノロウイルスは一度感染したとしても耐性がつくことはなく、同じ人が複数回感染する可能性があり、毎年の患者数も増えています。これからの流行の季節を前に、ノロウイルスにかからないように覚えておきたいポイントを紹介します。
■ ノロウイルスの特性
ノロウイルスは人の体の中で増殖します。そして、ノロウイルスに感染している人の吐物・汚物への接触や、彼らがふれた手すりやドアノブ経由で感染してしまうなど、非常に二次感染力が強いことでも知られています。さらに、塩素や熱に比較的強いことも特徴です。
■ 感染を防ぐために
いつどこで感染するか分からないノロウイルス。自ら感染を防ぐためのポイントをご紹介します。
・加熱する
食品の中心部の温度をしっかり上げることが大切です。60℃くらいの温度では10分加熱しても死滅しないというデータもあります。1990年代後半に大流行したO-157が、75℃以上に加熱すれば死滅すると言われているのに対し、ノロウイルスは85℃まで死滅しないと言われています。加熱温度は85℃以上にし、90秒以上加熱することで安全性が増します。解凍時も中途半端に温度を上げ下げすると細菌は繁殖しやすくなりますので、注意しましょう。
・手や調理器具などの洗浄
洗剤をつけてしっかり洗浄するようにしましょう。ノロウイルスは大腸菌などほかの細菌と比べると非常に小さいため、手のしわや爪などから体内に入り込みやすいので、手洗い時も石鹸の泡で手の隙間全体を包み込むようにして丁寧に洗うことをお勧めします。特に指先は手洗いが不十分になりやすい箇所です。
ノロウイルスは少量のウイルスであっても発症します。今のところ抗ウイルス剤はなく、最悪の場合は肺炎や窒息で死亡するケースもあります。もともと抵抗力の弱い乳幼児、高齢者や、疲労やストレスなどで免疫力が低下している方は重症化する可能性が高いですので、特に注意していただきたいと思います。
[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]
【参考】
※国立感染症研究所「ノロウイルス検出状況」2015年10月22日現在報告数