褒めて育てる。今や子育てや、部下育成のキーワードとして使われていますよね。同時に叱ることが難しい時代になっているのかもしれません。適正な範囲の指導にも関わらず、普段、叱られ慣れていないと、まるでパワハラを受けたように反応する部下もいるのが現状のようです。
では、実際に、上司は部下を褒めているのでしょうか? 昨年の調査ではありますが、公益社団法人 日本生産性本部が行った「日本の課長と一般社員 第3回 職場のコミュニケーションに関する意識調査」で興味深い結果が発表されていましたのでご紹介します。
■ 部下に褒め言葉が伝わっていないかも?
褒めることは「育成につながる」と思っていると回答された課長職は98.1%とのこと。やはり最近の「褒めて育てる」流れの影響力は大きいようです。そして、実際に褒めていると回答した課長は78.4%に及んだものの、実際に、「上司は褒める方だ」と感じている一般社員は48.6%にとどまっていたのだそうです。かなりのギャップがありますね。
恐らく、管理職側としては精いっぱい褒めているのに、部下には伝わっていないということなのではないかと推測します。褒めるというのは実はとても難しいのですね。
■ 感謝の言葉からはじめても良い
筆者が考える褒める時のコツは3つです。
1つは、具体的に褒めるということです。仕事の場合でしたら、「よく頑張っているね」では言葉が足りません。「先日のクライエントとの商談だけど、信頼関係を得られたのは、相手のリクエストに即座に応答した対応のお蔭だよ」などと、具体的例を挙げて褒めるということです。
2つ目は褒めるタイミング。上記のような場合であれば、商談直後に褒めるのが最も効果的ですね。良いところを発見したら、素早く褒めるということです。
3つ目は、褒めるとは少々異なるかもしれませんが「感謝する」ということです。「有難う」「助かるよ」などの感謝の言葉をかけることです。もちろん感謝の場合も具体的に伝えるのがコツ。こんなことは「出来て当たり前」などと思わずに、感謝は出し惜しみせず伝えましょう。そして言われた方も謙遜などせずに、素直に受け取ることが出来たら素敵ですね。
素直に感謝が行き交う職場というのは、きっと誰にとっても心地よく風通しいのよい職場のはずです。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー)]
【参考】
※ 公益社団法人 日本生産性本部 2014年8月28日発表「日本の課長と一般社員「褒める」課長は78.4%。それを感じる一般社員は48.6%。~第3回「職場のコミュニケーションに関する意識調査結果~」
※写真:よっし / PIXTA、本文とは関係ありません