年末年始が近づくこの季節、実家に家族で帰省する人も多いでしょう。毎年のことながら両親、兄弟姉妹家族と久しぶりに顔を合わせるのが楽しみなはずなのに、気が重いという人もいるのです。
ひとつの事例としては……、実家の母親のあからさまな対応格差。弟や兄家族に対しては久々の帰省ということで夕食は寿司などの出前、または焼肉など外食に出かけることも。帰る際は手土産を沢山持たせ、至れり尽くせりの対応です。
それに比べて娘はといえば、手伝い、片付けばかり。ひどい時は孫へのお年玉も金額が異なり、兄弟の子供達の方が多いのです。なぜここまで兄、弟家族と娘家族では対応に差が出るのでしょう。
■ 嫁、嫁の母親に対抗心をもつ実家の母親
筆者のカウンセリングルームにお越しになったD子さんの例をご紹介します。
会社員の夫、小学生と幼稚園児の子をもつD子さん(29歳)は、毎年お正月の帰省が近づくと憂鬱な気持ちなると言います。元旦は都内に住む夫の実家で過ごし、翌日はD子さんの実家に行くのですが、到着してゆっくりする間もなく弟家族が帰って行ったあとの片付けと掃除。さらに弟家族の滞在で疲れた実母に代わって、食事の支度。
実は、母親のこのような対応格差の理由は、嫁に対する見栄とその母親へのライバル意識なのです。
「お姑さんはお寿司を取ってくれたのよ、子供達へのお年玉もこんなにくれたの」とお嫁さんが自分の母親に伝えているシーンを想像しながら優越感に浸る。常にお嫁さんの親、とくに母親と自分を比較し対抗心をむき出しにするのです。そして、そのしわ寄せは全て実の娘に……。
「私の家族に対してこの格差は何?」と言えば、「あなたは、あちら(夫の実家)でよくしてもらっているでしょう」と答える母親に、D子さんは不満が募る一方と言います。
母親の対応はストレスになりますが、せっかく帰省した時くらいは親孝行しなければという娘の思いもあります。それにしても、あまりにあからさまな態度なら、帰省の日程をずらして兄弟家族と一緒になるのを避ける方法もあります。母親にしてみれば、娘の手伝いは当然と思っているかもしれませんが、それがないといかに大変かをわかってもらえるきっかけにはなるはずです。
[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]