待機児童の解消に向けて、行政が色々な策を練っています。小規模保育施設を増やしたり、助成金を出したり、少しでも待機児童を減らして女性が働きやすい環境の整備を急いでいます。そんな中、新たな方針が発表されました。2017年末までに企業内保育所を5万人分増やすという方針です。
■ 企業内保育施設とは?
企業内にある保育施設のことを「企業内保育施設」と呼んでいます。企業内の保育園となるため、その会社に勤める人が子どもを預けています。そのため、認可や認証となっておらず、認可園や認証保育所など自治体が認めている保育施設よりも保育料が高かったり、自宅から遠かったりするため、子どもを連れての出勤が大変な場合もあります。
一方、預かる子どもの人数が多くないため、細やかな対応をしてもらえたり、仕事の途中で授乳ができたり、仕事終了時間ぎりぎりまで子どもを預けていられるなどとのメリットが挙げられます。
0歳~2歳までの子どもを預かる小規模保育所の定員が19名までのため、イメージ的には小規模保育所に近いでしょう。
■ 新たな方針の中身とは?
新たに企業内保育所向けの助成金制度を創設することにより、企業内保育所の新設を促します。現在の企業内保育所は、一つの企業で運営をしていますが、新たな助成金制度では、共同保育所を設けて外部委託する場合なども対象にして、融通を利かせるようです。
また、現行の助成金との違いは助成金の支給期間です。現行の助成金が原則5年で支給が打ち切られるのに対して、新しい助成金では期限を定めないとなっています。
助成金はどの企業でも利用可能となり、具体的な金額は認可保育所の公的助成を参考に来年2月~3月に決めます。
そして一番気になるのが財源。助成金の財源は、企業が払っている税金の中に「子ども・子育て拠出金」というものがあります。これは全額会社負担となっているため、なかなか目にしない税金かと思います。この税金を引き上げて財源を確保し、企業の負担だけが増えないように雇用保険料は下げて調整をするようです。
女性が働きやすい環境を目指して、環境は常に変化しています。待機児童がすぐに解消されるのは難しいことかもしれませんが、解消の方向に向かっていることは確か。今後もご紹介していきますね。
[執筆:三木 育美(保育情報アドバイザー)]
【参考】
※ 『日本経済新聞』「企業内保育所5万人増 17年度末7割拡大、厚労省・経済界」2015年12月20日
※ kou / PIXTA、本文とは関係ありません