2015年、最高裁大法廷は夫婦同姓について初の憲法判断を示し合憲としました。夫婦同姓に対する考え方について、『マイナビニュース』のアンケート結果(※1)は次のようになっています。「結婚したら夫婦同姓か夫婦別姓を選べるようにするべき」に71.3%の方が賛成しており、姓の選択が自由にできるように望む人が増えているのがわかります。女性の社会進出などもあり、旧姓で培ったネットワークを新しい姓に変えて告知するのも大変です。またフリーランスで働き始めた時、最初に作った名刺に印字された旧姓に愛着をもち、そのまま使用する人もいるでしょう。
しかしそんな思いに強く反対する実母もいて、母娘関係改善カウンセラーの筆者のもとにも相談が寄せられています。
■ 世間体を気にする母、夫の実家にも気兼ねして…
大手出版社に勤務し、退職後はフリーの編集者として活動しているD子さん(45歳)は長い間のキャリアで築いてきた人脈こそが財産です。42歳で結婚しましたが、業界の中でも旧姓で知られた存在であるため、そのまま旧姓を使用しています。
しかし、それを知った実家の母親が激怒したとのこと。その理由は、嫁が旧姓を使うことで夫とその両親が不愉快な思いをしているに違いないというのです。しかし、この件については夫も両親も了承済み。それにも関わらず母親が気をもむのは、周囲からどのように思われるか世間体が気になるのです。
今は時代の流れで旧姓使用について考え方が多様化していると説明しても聞く耳もたず。折に触れ名字の件を持ち出すのでほとほと困っていると言います。
このようなケースは、D子さんが旧姓で活躍していることを証明する物、たとえばプロデュースした本で編集担当である自分の名前が掲載されている作品などを母親に見せ、活躍を理解してもらう。あるいは夫から、D子さんのキャリアを誇りに思っており、旧姓使用は全く気にかけていないことを直接、伝えてもらうなど。具体的な行動に出た方がよさそうです。母親の言うことを突っぱねるより、地道に説得を続けてみましょう。
[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]
【参考】
※1. 『マイナビニュース』「夫婦別姓、どう思いますか?」2015年3月4日
※写真:すなべしょう / PIXTA、本文とは関係ありません