世間を賑わせた舛添要一前東京都知事の政治資金問題。あなたはどのような感想をお持ちでしょうか?
■ 「家族サービス」と「公務」、どちらを優先?
就任前から、介護など高齢社会に対する切実な問題提議をしてきた舛添要一前知事。今回の問題も、「家族サービス」と「公務」どちらを優先させるかという、ある意味、家族サービスに付随する現代ならではの大きなテーマといえるかもしれません。
以前は庶民派の代表として支持を得ていた面もあった前知事ですが、こうした家族サービス優先の感覚がアダとなってしまったのでしょうか。それとも、私的なお金の使い方と政治資金との線引きができなかったのでしょうか。はたまた、政治資金ルールそのものに問題があるのでしょうか。
■ 「家事・育児」はサービスではない
「家族サービス」という言葉。いまや死語になりつつあるような気がします。
「家族」とは、夫婦で創りあげていくもの。「夫は仕事、妻は家を守る」という考え方が主流だった一昔前と違って、共働き世帯が増えた今は、夫婦が協力し合って家事子育てをするのが当たり前になりました。そうしなければならないほど、夫も妻も仕事に忙しく、時間的・物理的に厳しいのが現実ではないでしょうか。
ですから、家事や育児をすることを「サービス」とは呼べず、今の時代に則した言葉とは言えなくなった気がします。育児をする夫のことを特別視することもなくなりましたから、「イクメン」という言葉も少しずれた感覚といえるかもしれません。
■ 「内縁」や「バツイチ」ももう古い!?
このほかにも、「内縁」という言葉も、最近はあまり聞かれなくなりました。
国語辞典によると「内縁」とは、「実上は同居して婚姻関係にありながら、婚姻届を出していないために法律上の夫婦とは認められない男女の関係」とあります。夫婦問題カウンセリングの現場では、「事実婚」と呼ぶことが多いですが、辞典では「事実婚」は、「特に,婚姻の意思がない点で、内縁と区別して使用される」と解説されていました。
また、「バツイチ」という言葉も古めかしく感じるようになりました。幸せになるための選択のひとつと考える傾向が強くなったためでしょうか。現代とは、ずいぶん感覚が違います。(バツイチと呼ぶ理由は、結婚の失敗ではなく、離婚すると以前は戸籍に×印が付いたためなのですが…)
言葉は生きています。時代の流れとともに使う言葉も変化し、意外と早いスピードで、感覚も風潮も変遷していくのだと改めて感じています。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]