離婚となった際に決めておくべき条件のひとつに「養育費」があります。離婚後、ひとり親になったとき、子どもの成長と教育にはお金が必要不可欠です。ここでは「養育費」の本来の意味、どのように決めるのか、どのようにいつまで受け取るのか、などについてお伝えします。
■ 養育費とは、子どものために支払われるもの
「養育費」は、別居している親が、子どもの生活費として支払うお金のことで、養育費をもらう側が「権利者」、支払う側が「義務者」となります。養育費は、親が受け取るものと解釈されることが多いのですが、子どもが健全に成長するための費用であり、子どもが受け取る権利でもあるのです。
■養育費の取り決め方
「養育費」は、基本的に夫婦で話し合い、金額を決めますが、話し合いができない場合や決められない場合は、家庭裁判所で作成された「養育費算定表」を参考にします。子どもの数、子どもの年齢、親の収入などによって金額が異なります。
金額のほかに、いつどのように支払うのか、いつまで支払うのかを決めます。一般的には、「月に一回、○日に支払う」と取り決め、口座振込の手続きをしておくことで、支払いの停滞や振り込み忘れを防止することができます。
算定表の金額は、公立中学校・公立高等学校の教育費を考慮して計算されています。私立学校や大学の学費、習い事や留学費用、病気や事故の際の医療費など、高額な出費が必要となるケースもあるので、離婚時に「特別出費」について、負担割合などを決めておくことで、離婚後のトラブルを防ぐことができます。
支払いの「終期」(いつまで支払うか) は、子どもが20歳まで、22歳まで、大学卒業まで、など協議して決めます。養育費の支払いは、子どもが「成熟子」であるかどうかがポイント。「年齢ではなく、子が就労するまで」などと決めることも可能です。
■ 「養育費支払い」の保証制度がある
夫婦で話し合って決めたとしても、支払いの保証はありません。支払われたのは最初の数カ月だけで、その後は支払いが滞ったという話もよく聞きますので、「公正証書」を作成しておくことをお勧めします。支払いが滞った際、相手が会社員の場合は給与を差し押さえることができます。
日本では、支払いを怠っている「義務者」が多いことから、最近は、養育費を保証してくれるサービスも増えています。ただし、民間の「養育費保証会社」の内容はさまざまなので、利用前によく調べ、慎重に選択しましょう。初期費用など利用の助成を行っている自治体もあります。住んでいる街の「ひとり親家庭の支援」について行政に問い合わせてみるといいでしょう(※1)。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※1. ひとり親家庭の支援について。(例)東京都港区の「子ども家庭支援部子ども家庭課家庭相談センター」では、「養育費保証利用助成」として、養育費の支払いを保証するサービスを提供する民間事業者(養育費保証会社)と保証契約を締結する際の初回保証料を、5万円を上限に助成しています。
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません